マイクロソフトのクラウドや最新デバイスなど全てのサービスや製品をご紹介する「The Microsoft Conference 2013」が、2013年11月21日・22日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で開催される。80を超えるさまざまなセッションや技術・製品を体験できる展示会など、多彩なプログラムで最新の情報を得ることができる。本年は、Developer トラックが設けられ、.NET、モバイル、Web に関わる開発者に向けたセッションやプログラムが充実した内容になっている。
今回は、日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 UXエバンジェリスト 春日井良隆氏に、Web標準とマイクロソフトの取り組みについて語っていただいた。同氏は、Developer (開発者向け) トラックの1つ『HTML5.1? 最新の Web トレンドとマイクロソフトの関係』というタイトルで講演をする予定だ。
HTML5.1も視野に、IEは最新のWeb標準に鋭意対応中
マイクロソフトのWeb技術に関するトピックは2つ。1つはWeb標準への取り組み、もう1つはWindows 8アプリとWeb技術の親和性である。
2014年末に勧告となる予定の「HTML5」は、2年ほど前にはキーワードとしてバズ化していたようだったが、現在では確かな地位を築いている。2016年に勧告予定の「HTML5.1」も、この春にはドラフトがアップデートされ、姿が明らかになりつつあるところだ。そうした標準技術への対応をIEの開発においてはなによりも大切にしているという。
「マイクロソフトでは、Internet Explorer 8の頃からWeb標準への準拠を明確に打ち出しています。最近は、その重要性を説く取り組みにも積極的に参加しています。その1つとして、『Test the Web Forward』への参加があげられます」(春日井氏)
Test the Web Forwardは、世界中のWebの開発者やエキスパート、W3Cのメンバーなどが集まり、W3Cの仕様やテストの作成方法などを学んだり体験したりして、Web技術の進化に貢献しようというイベントである。Adobe SystemsのRebecca Hauck氏らの呼びかけによって、サンフランシスコ、北京、パリなど世界各地で開催され、2013年6月には第6回目が東京で開かれた。
「第5回シアトル開催の際には、マイクロソフトのオフィスが会場として提供されましたし、続く東京でも協賛させていただきました。会場はグーグルさんでしたけど(笑)。このほかにもマイクロソフトは、標準技術の策定に貢献するため、W3CやEcma Internationalへテストケースを多数提出しています。おそらく世界でもトップの提出量でしょう。もちろん、Internet Explorerでも対応を積極的に進めています。最新のIE11では、どこまで対応できているのか、The Microsoft Conference 2013ではデモも交えて解説しようと思います」(春日井氏)
Windows 8アプリもWeb標準で作れる
マイクロソフトのWeb標準への対応は、Webブラウザの世界にとどまらない。HTMLとJavaScriptで、Windows 8のネイティブアプリを作ることも可能だ。
取材では、ノートブックPCを開いてアプリをデモし、ソースコードがHTMLとJavaScriptで書かれていることを見せてくれた。
HTML/JavaScriptで作成されたWindows ストアアプリ「photomille」の例。 |
「通常、OSのネイティブアプリを作ろうと思ったら、それぞれのプラットフォームが提供する開発言語のスキルが求められます。しかしWindows 8では、ご覧のように、汎用性の高いWeb技術をそのまま使うことができます。普段、WebサイトやWebアプリを開発しているエンジニアやデザイナーが、そのスキルのままWindowsのネイティブアプリが作れるということです。最終的にアプリをビルドするときには弊社のVisual Studioが必要になりますが、そこまでは使い慣れたツールで開発できる点もメリットではないでしょうか」(春日井氏)
マイクロソフトがこれほどWeb標準にこだわるのは、現在のICT環境が多様化しているからであるという。
「最近では、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスがどんどんオフィスに入ってきています。BYOD(Bring Your Own Device)などの浸透でその傾向は加速する一方です。この状況で、特定のOSやブラウザに特化した技術を使うとなると、何種類もアプリを用意しなければなりませんし、バージョンアップにもついていけません。こうした問題を解消するうえでは、Web標準技術の採用は有効なはずです」(春日井氏)
春日井氏によると、TitaniumやPhoneGapなど、スマートデバイスを意識して登場したマルチプラットフォーム対応の開発環境も、最近ではWindowsストアアプリに対応しはじめているという。参入を妨げる障壁は、ますます低くなっているようだ。
講演では、HTMLで稼働するWindows 8アプリのデモンストレーションもあり、盛りだくさんの内容になるという。開発者は、活躍できるフィールドをさらに広げるチャンス。ぜひとも会場に足を運んでほしい。