酒類総合研究所は、甲州ワインの原料としても有名なブドウの品種「甲州」が、ヨーロッパで多く生産されるビニフェラと中国の野生ブドウとのハイブリット型であることを研究によって明らかにしたと発表した。
これまで多くの研究者などが、甲州はビニフェラと同一品種であるとの考えてを示しており、黒海と地中海に挟まれたコーカサス地方からシルクロードを通じて直接日本に入ってきたとされていた。しかし、甲州の分類や由来についてはさまざまな意見があり、正確なことははっきりしていなかったという。
研究では、まず甲州が構成する核DNAのSNPs(Single Nucleotide Polymorphism)解析をしたところ、71.5%がビニフェラで残りが野生種であることが判明した。さらに研究を進めていくうちに、甲州がビニフェラと野生種の純粋な交雑品種(雑種1代)ではなく、もう1回ビニフェラと交配した品種(4分の1が野生種)である可能性が高いことがわかったという。
次に、母親(胚珠親)から遺伝する葉緑体DNAの部分シーケンスを調べたところ、甲州は完全なビニフェラ型ではなく、中国の野生種であるVitis davidiiの1つに一致したという。最初の研究で甲州の4分の1が野生種であることがわかっていることから、Vitis davidiiは甲州の"母方の祖母"に当たり、それは両者にトゲが生えていることからも関係性を推測できるとしている。
なお、同成果の詳細は11月9日に開催された2013年日本ブドウ・ワイン学会で発表された。