市民との科学コミュニケーション活動に取り組む全国のグループや個人たちが集う科学交流イベント「サイエンスアゴラ2013」が9、10の2日間、東京・お台場の日本科学未来館など6会場で開かれた。
科学と社会をつなぐ交流の“広場”(アゴラ)として、2006年から毎年開かれている同イベント。今年は過去最多の200を超える団体・グループが参加し、さまざまな科学分野の実験・工作や実演、ポスター展示、シンポジウムなど、230あまりの企画が出展された。2日間には昨年よりも約1,800人多い、のべ5,796人の入場者があった。訪れた多くの家族連れや若者たちの中には、音楽コンクールの出場予定を調整して来場した北海道の中学校の吹奏楽部員ら50人の姿もあった。
見せる側の出展者たちも、年に一度の全国的なイベントとあって、それぞれに趣向や工夫を凝らして自分たちの活動や研究内容を紹介していた。物質・材料研究機構「国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)は研究員たち“スマポレンジャー”などに扮して、病気を診断・治療する未来の新材料「スマートポリマー」をPR。非化石燃料による新しいエネルギーシステムの研究開発に取り組む九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)は、水の電気分解で得られた水素、酸素の電気エネルギーを利用して“燃料電池自動車”モデルを動かし、子供たちだけでなく大人たちの興味も引いていた。
下村脩(おさむ)博士のノーベル化学賞のきっかけとなった「緑色蛍光タンパク質(GFP)」の実験では、大人も子供も一緒になって蛍光の発する液体に見入った。土の中から化石を見つけ、それを鑑定するコーナーでは、順番待ちの行列ができるほど。日本原子力研究開発機構のブースでは、元素の中性子とエネルギーの関係を示す立体模型が展示され、親子が熱心に説明を聞いていた。屋外の公園では、埼玉県立春日部工業高校の生徒たちが作ったミニ新幹線の試乗も行われ、小さな子供たちも大喜びだった。
「緑色蛍光タンパク質」には大人たちも興味津々 |
水分解の電気エネルギーで動く“燃料電池自動車” |
元素の立体模型の説明を聞く親子連れ |
ミニ新幹線に大喜びの子供たち |
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