沖電気工業(OKI)は11月11日、920MHz帯無線マルチホップネットワーク技術を活用し、各種機器に組み込み可能な920MHz帯無線通信モジュールを発表した。
昨今、多様なセンサや機器がネットワークに繋がり、人手を介さずに機器同士で通信することで、センサや機器の監視や制御を行うことができるM2M市場が急速に拡大している。中でも、各所に分散配置された複数の機器をネットワークに繋ぐため、無線通信機能を持つ組み込み可能なモジュールに注目が集まっている。
同製品は、920MHz帯無線に対応しており、無線LANなどの2.4GHz帯と比較して電波の到達距離が長く、また障害物を電波が回り込んで届く特性が高いため、通信距離を必要とする場合や、障害物が多い場所での利用が可能。また、従来利用されてきた429MHz帯の特定小電力無線局よりも高いスループットを持ち、マルチホップシステムで利用できる。
今回、「カスタマイズモデル」と「RS485透過モデル」の2つをラインアップ。「RS485透過モデル」は、無線マルチホップに対応した中継機能と、RS485透過機能を搭載した「ルータ」を用意。PCからモジュールの設定を行うことができる保守コンソールソフトに加え、保守用のAPIを提供するので、API経由でユーザーシステム側から設定を行うこともできる。なお、「RS485透過モデル」の親機機能を搭載した「コーディネータ」は、商品化を検討している。
「カスタマイズモデル」は、センサインタフェースを備え電池駆動が可能な「エンドデバイス」、無線マルチホップに対応した中継機能とセンサインタフェースを搭載した「ルータ」と、「コーディネータ」の3種類を用意する。「エンドデバイス」は、センサからのデータ処理を含めて、同モジュールに搭載した1プロセッサで処理するため省電力で、電池駆動で10年以上使用できる。電源工事を行う必要がなく、機器の設置が容易になる。
また、現在販売している同社の「920MHz帯マルチホップ無線ユニット」と組み合わせてシステムを構築することができる。このほか、推奨品の外部アンテナを複数用意している。さらに、IEEEで標準化されたPHYレイヤ規格IEEE802.15.4gに準拠、ネットワークレイヤはIETFで標準化された6LoWPANやIPv6/RPLに対応している。国際的に利用されている業界標準のため、多種の機器・センサとの相互接続性を確保し、多様なサービスを創出することが可能となる。
OKIでは、拡大するM2M市場に向けて、今後3年間で45万台の販売を目指す。「RS485透過モデル」は、2014年2月末より出荷を開始する予定。