凸版印刷は11月11日、静電容量方式タッチパネル向けに超微細な銅配線のパターンを形成したタッチパネルモジュールを開発し、量産体制を構築したと発表した。PCやタブレット端末など、10~27型クラスをターゲットに11月中旬より提供を開始する。

タッチセンサは、タッチパネルの中心的な部品として、様々な用途で今後も市場の拡大が予想されている。また、PCに加え、デジタルサイネージや電子黒板など、中型から大型モニタでの採用も進みつつある。今回の銅配線タッチパネルモジュールでは、銅メッシュを3μmの線幅で形成し、配線を黒化処理することで視認性を向上させた。さらに、フィルム基材を採用することで、ガラス基板に比較して大幅に軽量化した。また、ITOや銀を主原料とする従来方式と比較して、感度を向上させたという。

この他、従来、X極とY極を別々のフィルムに形成して貼り合せて製造していたものを、フィルムの表裏に一括して電極と引き出し配線を形成した。これにより、材料費や工程費を削減するとともに、一層の軽量化を実現した。また、タッチセンサ用フィルムと液晶パネルとの干渉によるモアレ現象を制御する独自のパターニング技術を開発した。さらに、液晶パネルとの位相差で発生する虹ムラも抑えている。

これらに加え、静電容量方式タッチパネルの性能向上には、電極の抵抗値と、寄生容量の変化特性を合わせ込み、最適化する設計ノウハウが重要となる。そこで、子会社であるオルタステクノロジーと共同で、タッチセンサモジュールの企画・開発段階から電極フィルムの生産、パネルモジュールまでの一貫した生産体制を整えた。コントロールICや使用する材料を最適化することで高性能なタッチパネルモジュールを提供することを可能にした。

同社では、銅タッチパネルモジュール事業で2015年度に売上200億円を目指す。現在、ニーズに合わせて銅タッチセンサの他、ガラスセンサ、ITOフィルムセンサなど、ラインアップを充実させており、さらに高性能・高品質なタッチセンサとタッチパネルモジュールの開発を進めていくとしている。

銅配線のタッチセンサ(左)と、タッチパネルモジュール(右)