富士通は11月11日、自社開発を進めている機器の試作・検証をコンピュータ上の仮想試作機で実施するソフト「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS(VPS)」の最新版「VPS V15L14」に関する記者説明会を開催し、販売を開始したことを発表した。

VPSを開発したデジタルプロセスの取締役である山田洋一氏

VPSは、実機の代わりに3D CADデータを利用して3Dモデルを作り、組立生産準備における製品レビューから製造指示までの業務プロセスを一括管理し、組立業者のQCD向上を支援するソフトとなる。試作品の組立手順を分割図にしたり組立工程の動画の作成機能が実装されているほか、業務帳票の作成といったドキュメント作成・管理ツールとしても重宝する。

最新版では、従来よりもさまざまな検証が行えるようになったことが特徴となる。組立動画は、工具だけでなく治工具でも利用できるようになったほか、プリセットに人の手モデルが追加されたことで、機器を組み立てる際に工具を握った手を扱うスペースがあるかどうかを見て確認できるという。

また、操作性も改良が加えられ、製造フローにおける複数の作業工程のリストをマウス操作で同時に選択できるようになったほか、Windows 7搭載のタッチパネル対応パソコンなら、タッチパネル上に直接指を触れて3次元モデルの回転、拡大/縮小、移動といった操作を行える。

新版では工具と治工具との干渉をチェックしたり、地工具と人の手の干渉をチェックすることもできる

さらに、同社は以前からVPSで作成した試作品データ用の閲覧用に、有償版と無償版の2つのビューワを配布していたが、今後は2つを統合したものを無償提供する。同社によるとこれまで無償版・有償版を合わせて6000社、合計10万ダウンロードがあったという。

価格は、すべての機能が利用できるStandard版が400万円、組立動画に特化した組立動画版が98万円となり(どちらも税別)、出荷時期は12月中を予定。同社は今後3年間で両方を合わせて6000ライセンスの販売を目標としている。