アドビ システムズは、クリエイターのためのイベント「Create Now / PLUS ONE DAY」を開催した。本レポートでは、その冒頭に行われた米アドビ システムズより来日した"Photoshopの伝道師"こと主席クリエイティブディレクターのラッセル・ブラウン氏と、PhotoshopやLightroomの主席エヴァンジェリストであるジュリアン・コスト氏によるキーノートの様子をお届けする。
ブラウン氏はプレゼンテーションのたびに仮装をするのが恒例となっており、今回はコスト氏ともども「スチームパンク風」のコスチュームで登場。まずはブラウン氏により、Photoshop向け新機能「Adobe Layer Namer」が初公開された。これは日本先行公開の機能で、対応言語も現状は日本語のみとなっているとのことだ。
この「Adobe Layer Namer」は、レイヤー名に拡張子を入力するだけで、そのレイヤーを画像として保存できる「生成」機能をさらに簡略化するためのもの。逐一レイヤー名をクリックしてリネームするのは時間がかかるが、この機能では画像を生成したいレイヤーを選択して設定を行えば手軽に画像を生成できるほか、元ファイルの2倍の拡大サイズを自動生成するオプションも搭載している。
続いて、バトンを受け取ったコスト氏は「Adobe Photoshop Lightroom 5」と「Adobe Photoshop CC」のコンビネーションテクニックを公開した。まず最初にLightroom上で金閣寺を撮影した写真を選択し、露出の違う同アングルの3枚の画像をまとめてPhotoshop CCへ受け渡す様子を披露。風景には広いダイナミックレンジがあり1枚の写真ではすべてカバーできないため、ブラケット撮影した画像をまとめてPhotoshop CCへ受け渡すことで、各々の画像からベストの階調を選び取ってひとつにまとめた状態にした上で編集を行った。加えて、その画像を元の32bitのままで編集したいため、「Adobe Camera Raw」で32bitに設定。Photoshopの中では、スマートフィルターとしてCamera Rawの全ての機能が使える状態にあることもアナウンスされた。
また、Photoshop上での編集作業では、彩度を下げたいが、金閣寺の色のみ鮮やかなままで残したいという方針のもと、カラーピックアップで特定の色域だけを補正した。それでもゴールドのみ選択することは難しいため、ここでは選択調整ツールを使っていくと特定の部分だけ色彩を元に戻す方法で表現した。ここまでの作業をスマートフィルターとして行っているため後から元に戻したり別の加工を施すことも可能で、非破壊の画像編集が可能となる。
そして再びブラウン氏がプレゼンターとなり、Photoshop CCでの動画編集を行った。「Adobe Premiere Pro CC」からPhotoshop CCへ動画を受け渡すことで、Camera Rawフィルターによる色調変更の機能がそのまま映像に適用できる。そして、Photoshopで色調補正を行った動画ファイルは、またPremiere Proに戻して、高度な動画編集を行うことができる。
この機能により、グラフィック系のデザイナーでも、動画の編集をPhotoshopの機能を用いて行うことができる。こうした連携が行えるのも、多様なアプリケーションを包括して利用できるCreative Cloudの強みであるといえるだろう。