オートデスクは11月6日、同社のビジネス概況を説明する事業説明会を開催した。登壇した米AutodeskのCEOであるカール・バス氏は、日本市場を含めた同社の業績、ビジネス・コンシューマ向け製品の取り組みなどを幅広く語った。
同氏は、前年度の同社全体の売上高は2億7800万ドルであったことを述べ、その中で日本市場は12%を占めて米国に次いで2位であり、重要な地域であることを強調した。今後について、新製品や新サービスを導入するなどして2018年度までに売上高を12%増加、新しい事業モデルを提案してユーザー数を50%増加させる計画があるという。
ビジネス分野において同社が以前から重要視している製造業の現在は、単純にソフトウェアを使って製品設計をするだけではなく、完成製品の仮想体験ができる「デジタルプロトタイピング」の利用を前提とした段階であることを述べた。英Aston Martinや独Audiでの同社ソフトの利用を例に出し、「世界中のほとんどの自動車メーカーがオートデスクの設計ソフトを利用している」と続け、独VSR Technologyを買収したことで、製造業のサーフェス設計をより強化するといった取り組み行うとしている。
また、同社の事業モデル、技術基盤、市場の3つが大きく変化していることを述べ、その一端はクラウドが担っていることを挙げた。従来は個別のコンピュータ上で設計データを作成・閲覧していたが、Autodesk 360といったクラウド型のソフトウェアを使うことで企業の生産性の向上や効率化につながることを強調した。
ビジネス分野のほかに、同社が近年力を入れているコンシューマ向けの製品について同氏は、全世界でトータル1億5000万の利用者、今年度の売り上げは2000万ドルになると予測し、想像以上に成功していることを述べた。
コンシューマ分野で特に注目していのは、個人でものづくりをする「Maker」だという。先日都内で開催された「Maker Faire Tokyo 2013」に同社もブースを出展し、中央にいる人物をさまざまな角度から撮影してコンピューター上で人物を3D化する装置などを展示し、多くの来場者から注目を集めたという。
同氏も古くからのMakerで、自宅には"町工場"さながらの製造設備があり、これまでも自分でヨットやベンチを製作したという。また、先日から日本語対応になった個人のものづくりプロジェクトを"説明書風"にしてWeb上で共有する同社のサービス「Instructables(インストラクタブルズ)」について、同氏は実の子どもの立体造形を作成したことを語り、会場からの笑いも誘った。
記者からの質疑応答では、同社が配布するフリーの3D CADソフト群「Autodesk 123Dシリーズ」に関する質問があると、同氏は利用者全体の10%が日本人であること、現時点で詳細は決まっていないが今後日本語版をリリースする意思があることを説明した。