産業分野の展示会「ものづくりNEXT↑2013」が10月30日から11月1日まで東京ビックサイトで開催された。同展示会は毎年開催されるもので、今年は約250の企業が出展し、会場内は製造業やインフラなどの産業分野に関わる多くの人で賑わった。今回は、同展示会に特別コーナーとして併設された集中展示「3Dプリンタの未来」の様子をレポートする。
多くの参加者の注目を集めていたのは、アイルランドにあるMcor technologiesが製造する3Dプリンタ「Mcor Iris(エムコア アイリス)」を輸入販売するジェービーエムのブース。Mcor Irisは、A4用紙を材料としてインクジェットプリンタと同様のインクを使い、フルカラーで3D出力できるのが特徴となる。使い方としては、まず材料にA4用紙を使いインクジェットプリンタと同じ方式で用紙に1枚ずつ着色し、次に複数の用紙を積み重ねて接着させる。最後に接着された用紙を人の手で無駄な部分を取り除くことで完成する。
同社によるとA4用紙を使うメリットはほかにもあり「粉末を材料とする3Dプリンタのように、利用した後に粉を掃除する必要がなく、専用の作業部屋を用意することもない」と述べている。
3Dプリンタの製造メーカー大手のストラタシス・ジャパンは、日本における販売代理店のALTECHと共同でブースを出展し、自社製の3Dプリンタを展示した。同展示では、ABSやPLIといった樹脂を材料とする3Dプリンタを複数展示し、さまざまな顧客に対応できることをアピールした。
3Dプリンタ用のソフトウェアや3Dスキャナの展示も
3Dプリンタの未来では、3Dプリンタの実機を扱うメーカーのほかに、3Dプリンタを使うためのソフトウェアメーカーもブースを出展。マテリアライズジャパンでは、3Dデータの最適化ソフト「Magics」を液晶モニター上で紹介。同ソフトでは、3D CADデータを3Dプリンタの出力用のSTLファイルに変換するだけでなく、エラーチェックや自動修正機能を実装してより精度の高い3D出力ができるという。
ノアは自社開発したハンディータイプの3Dスキャナを展示。当日の展示はまだ開発中のプロトタイプだったが、被写体を内蔵カメラを使って360度撮影し、Wi-Fi経由でパソコンに写真を転送し、パソコン上で3Dデータを作成するまでを実演した。今後について担当者は「3Dプリンタがもっと身近になったとき、実際に3D CADデータを作成することができない人に使ってほしい」と展望を語った。
なお、3Dプリンタの未来では特別講演会も実施した。今回ブースとしての出展はなかった大手3Dプリンタメーカーのスリーディーシステムズ、ストラタシス・ジャパン、ユニークなところではものづくり系女子として活動する神田沙織氏など幅広い内容の講演が行われた。