大日本印刷(DNP)と同社100%子会社のディー・エヌ・ケーは11月5日、ドライラミネート機向け脱臭装置の排熱を、乾燥用温風の熱源として再利用するシステムを開発したと発表した。
ドライラミネート機の乾燥装置の排気にはVOC(揮発性有機化合物)が含まれているため、濃縮装置でVOCを濃縮したうえで、脱臭装置でVOCを800℃で燃焼・除去し、脱臭を行っている。従来、VOC燃焼に使用した熱エネルギーの余剰分は蒸気ボイラーの熱源として利用されていたが、100℃前後の排気はそのまま大気中に排出されていたという。
今回開発された排熱利用システムは、この100℃前後の排気を乾燥用温風の熱源として再利用するもので、これにより乾燥装置のエネルギー使用量を30%削減することを可能にした。
また、脱臭装置から回収する排気の温度は一定ではないため、排気で熱交換した空気を外気温のままの空気と混ぜ合わせて温度を調整する熱交換器を設置することで、温風の温度を一定に保つことを実現。これにより、排熱の利用効率の最大化が図られたとする。
同システムはすでに2013年7月より、軟包材を生産する筑後工場にて効果検証が進められているが、同工場では、1つの乾燥装置から複数の乾燥ゾーンに乾燥用の温風を送る必要があるものの、乾燥ゾーンごとに個別の温度設定が必要となるため、
ドライラミネート機にすでに備わっている温度調整機能で温風の温度を微調整することで、各乾燥ゾーンの乾燥温度の情報を取得し、排熱の利用効率が最大となる温度で送風し、ドライラミネート機側の温度調整機能を使って、それぞれ適切な温度に調整する仕組みを取り入れることで、低コストかつ従来通りの温度安定性を実現したほか、設備の小型化を実現したとする。
さらに両社では、同システム専用のモニタリングシステムの開発も進めており、将来的には管理部門がネットワーク経由で運転状況やエネルギー削減量をリアルタイムで確認することを可能にする予定としており、今後、ほかの工場へのシステムの導入を進めるほか、グラビア印刷機やオフセット印刷機など、ほかの生産機の乾燥装置に対応した排熱利用システムの開発も進め、エネルギー使用量の削減を図っていきたいとコメントしている。