三菱重工業(MHI)は10月30日、同社が参加する国際コンソーシアムが、トルコ共和国政府と同国が推進するシノップ原子力発電所(原発)プロジェクトに関する商業契約で大枠合意に至ったことを発表した。

これは、2013年5月に日本が優先交渉権を獲得して以降続けてきた交渉を受けたもので、10月29日にトルコ訪問中の安倍首相と同国のエルドアン首相の間で「日本国とトルコ共和国の原子力エネルギー及び科学技術分野における協力に関する共同宣言」が署名され、両国首脳の間でも確認された。

同プロジェクトは、黒海沿岸のシノップ地区に4基の原子力発電所を建設するもので、今回の商業契約は、事業実施のための協力範囲やフィージビリティスタディの枠組などについて規定する「HGA(Host Government Agreement:施設国政府契約)」と呼ばれる契約。今後、トルコ国会の承認を経て、国際コンソーシアムと同国政府の間で正式に締結される予定だという。

なお、同プロジェクトでは、MHIと仏AREVAの合弁会社であるATMEAが開発した最新鋭原子炉「ATMEA1」が採用される計画。ATMEA1は出力110万kW級の加圧水型炉(PWR)で、信頼性の高い第三世代プラスの炉型であり、すでに仏原子力安全規制当局およびカナダ原子力安全委員会から基準適合の評価を受けているという。

改良型加圧水型炉(APWR)の基本系統構成図