Alteraは10月29日(米国時間)、Intelの14nm Tri-Gateプロセスを用いて製造される次世代SoC製品「Stratix 10 SoCシリーズ」に、DSPブロックと高性能FPGAを補完する「ARM Cortex-A53 Quad Core」プロセッサ・システムを採用したことを発表した。

Stratix 10 SoCは現行、同社が提供しているSoCデバイスと比べ、最大6倍以上のデータ処理能力を実現できるほか、64ビットプロセッサとしてもっとも高い消費電力効率を実現しているという。また、従来の32ビットARMプロセッサ世代のソフトウェアとの互換性も確保しており、既存資産の活用も可能となっている。

さらに、搭載されているDSPは10TFlops以上の演算性能を提供するほか、FPGAファブリックも1GHz以上の高速動作が可能だとのことで、仮想化や最大256TBのメモリ範囲、L1およびL2キャッシュにおけるECCサポートなど、データセンターや通信基地局などの分野で求められる機能なども提供される。

AlteraのGeneration 10シリーズの概要

Intel 14nm Tri-GateプロセスにCortex-A53を実装することで得られる性能の概要

同社のSenior Director,Product Marketing SoC ProductのChris Balough氏は、Cortex-A53を選んだ理由として、「ARMの64ビットCPUコアとしては、よりハイパフォーマンスを実現できるCortex-A57もあるが、A57はA53に比べ、ロジックエリアが3倍に増加してしまい、それだけ電力の消費量も増加することになる。単一のプロセッサとして考えればA57の方が良いが、Stratix 10 SoCをCPU、DSP、ロジックを組み合わせたヘテロジニアスなシステムとして考えた場合、A53の方がカスタマニーズにより近い性能や消費電力のバランスを提供することが可能になると判断したため」としており、同社が想定しているHPCなどの分野におけるアクセラレータやネットワーキング、レーダーといった用途において、ホストプロセッサも内包するといった考えや、big.LITTLEといった考え方については現実的ではないとする。

Stratix 10 SoCはクワッドコアのCortex-A53、1GHz FPGAロジック、10TFlops以上の演算性能を提供するDSPと、それらを活用するための各種ツールの組み合わせにより、さまざまな用途に高い性能を低消費電力で提供することを実現する

また、「製品シリーズのすべてに同じCPUを搭載することで、カスタマは必要なFPGAファブリックなどを選択して、最適なシステムを構築することが容易になる。これにより、フレキシブルに市場のニーズに対応することが可能いなる」(同)としており、Stratix 10 SoCとして予定されているSTシリーズおよびSXシリーズの2シリーズともに、そのすべての製品にCortex-A53が搭載される予定だという。

Stratix 10 SoCがターゲットとする分野の例

なお、Stratix 10 SoCのテープアウトは2014年第4四半期をターゲットにしているが、そのころにはIntelが提供する14nmプロセスのクオリフィケーションが終わっている予定であるため、Alteraからプッシュするまでもなく、実際の製品の流通までにはそれほど時間をかけずに到達できるとしている。