日本ガイシと東北大学 金属材料研究所は10月24日、高強度と高導電性の両立を実現した銅合金ワイヤ「ジルコニウム銅ワイヤ」を開発したことを発表した。
同ワイヤは、合金溶解後に最適な冷却速度で急冷鋳造する製造技術を開発することで、従来、約0.1at%しか銅に添加することができなかったジルコニウムを0.5~5.0at%(アトミック・パーセント:原子数の比率)まで添加することに成功したもの。ジルコニウムの含有量や伸線加工の度合いを変えることで、1つの合金で幅広い強度と導電性の組み合わせを得ることが可能だという。例えば、純銅に近い導電性であれば約3倍の強度、黄銅と同等の導電性であれば約3.5倍の強度があるため、直径0.02mmの極細ワイヤを部品の導線として使用したとしても高い信頼性を確保することができるというとのことで、ジルコニウムを5.0at%添加した場合の強度は、銅合金として世界最高クラスの2234MPaに達するという。
同社では、同ワイヤをコイルやモーターの巻き線、同軸ケーブルの導線として使用すれば、部品の小型軽量化・高効率化が可能になるとするほか、金属フィルタ、メッシュ、放電・切断用ワイヤなどの極細鋼線が使われている分野への展開も期待できるとしている。
なお、同社ではすでに直径0.02~0.2mmの極細ワイヤのサンプル出荷を開始しており、電子機器や産業機器、自動車などの幅広い分野での適用を視野に入れ、2015年の量産開始を目指し、生産技術の確立を進めていくとしている。