計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは10月23日、EMIレシーバ「Agilent N9038A MXE EMI レシーバ」に44GHzモデルの追加、およびタイムドメインスキャンオプションの提供開始、さらに標準機能の大幅な拡張を行うと発表した。
今回の機能拡張により、MXEではEMC(電磁両立性)試験における今後のニーズにも対応していく。MXE 44GHzモデルにより、MIL-STD-461やFCC Part 15などの規格に適合したコンプライアンス試験を1台で行うことができるようになる。さらに、周波数範囲の拡張により、不要放射の特定などノイズ信号の診断にも威力を発揮する。また、タイムドメインスキャン機能を利用すると、レシーバスキャン(不要放射の可能性のある信号を広い周波数帯にわたってリストアップすること)を短時間で行うことができる。同機能は、自動車業界などにおいて、広く活用されているという。
加えて、3種類の新機能を標準提供する。モニタスペクトラムモードはライブスペクトラムを表示する機能で、最終試験前に、信号の特性評価やピーク放射の周波数特定が容易になる。振幅確率分布(APD)測定機能は、2014年夏頃の発表が見込まれる次世代CISPRを先取りし、APD測定機能を提供する。電子レンジの妨害波測定などに用いられる機能という。外付けLISN(ラインインピーダンス安定化回路網)制御機能は、2種類のLISNを切り替えることが可能な機能であり、商用および軍事用規格で、放射に関するコンプライアンス測定を行う際に必要となる。
なお、価格は44GHzモデルの「N9038A-544」が1355万9295円(税別)、タイムドメインスキャン「N9038A-TDS」が85万2971円(税別)。「N9038A-TDS」は、8.4GHz(オプション508)、26.5GHz(オプション526)、44GHz(オプション)モデルで利用可能となっている。また、モニタスペクトラムモード、APD測定機能、外付けLISN制御機能は、MXE EMIレシーバの新規購入時に標準提供される。これらの機能およびタイムドメインスキャン機能は、既存のMXEに後付けすることもできる。すでに、販売および出荷を開始している。