近畿大学と毛髪クリニックリーブ21は10月22日、これまでの女性の脱毛者と非脱毛者の毛髪中ミネラル量の分析結果に加え、新たに男性脱毛者も解析したところ、男性女性ともに脱毛者の毛髪ではヒ素や鉛といった有害ミネラルの蓄積量が多い傾向にあることを発見したと発表した。
同成果は、同大学 薬学部医療薬学科 公衆衛生学研究室の川﨑直人 教授らによるもの。詳細は10月23日より開催される「第72回 日本公衆衛生学会総会」にて発表される予定。
脱毛の原因としては、ホルモンバランスの崩れやストレスなどが知られているところだが、近年の研究から、食生活や生活習慣の乱れによる体内の栄養状況の悪化も要因として考えられるようになってきた。そこで、研究グループはこれまでに女性の脱毛者と非脱毛者の毛髪中ミネラル量を分析し、脱毛者の方が鉛やヒ素などの有害ミネラルの蓄積量が多い傾向にあることを報告していた。
今回の研究は、男性でも同様の傾向にあるのかどうかを調べることを目的に実施されたもので、リーブ21に通う脱毛者(男性2646名/女性412名。20~40代)と、研究への協力を承諾した非脱毛者(男性47名/64名。年齢は脱毛者と同じ)を対象に、毛髪中の有害ミネラル(リーブ21では、カドミウム/水銀/鉛/ヒ素/アルミニウムの5種類を定義)の分析を行った。
毛髪は、尿や血液に較べて数カ月分のミネラルが残留するため、より精度のある数値が測定可能であり、体内の必須ミネラルや有害ミネラルの量を分析しやすいという特徴がある。
調査の結果、男性では、カドミウム、鉛、ヒ素、アルミニウムの4種類が、女性では、カドミウム、水銀、鉛、ヒ素、アルミニウムの5種類ともに脱毛者の毛髪では多い傾向にあり、しかもどの年代でもほとんどの有害ミネラルについて同じような傾向がみられることが確認された。
今回の知見について研究グループでは、毛髪中有害ミネラルの蓄積レベルが脱毛の指標になる可能性が示唆されたと説明しており、今後、有害ミネラルがどのように脱毛に関与しているか、また排泄や摂取回避によって脱毛が予防/改善できるかの検討を進めていく予定としている。