名古屋大学(名大)は、世界最高クラスとなる0.7mmの分解能を有する小動物用陽電子放射型断層画像撮像装置(PET)の開発に成功したと発表した。

同成果は、同大大学院医学系研究科医療技術学専攻の山本誠一 教授、同 加藤克彦 教授、大阪大学大学院医学系研究科の畑澤順 教授、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの渡部浩司 准教授らによるもの。詳細は英国医学物理専門誌「Physics in Medicine and Biology」に掲載された。

小動物用PET装置は、ポジトロン放出核種で標識した分子プローブの分布や濃度を高い定量性で測定できるため、分子イメージング研究における中核機器として注目されているが、従来装置の空間分解能は、技術的な困難さから1.5mm程度と、マウスなどの小動物の撮像を精度良く行うには不十分であるため、1mm以下の空間分解能を実現した装置の開発が求められていた。

今回研究グループでは、空間分解能の向上を図ることを目的に、O.5mmのシンチレータと、独自のライトガイドを介して新型光センサ「Si-PMアレー」を光学結合することで高い分解能を実現可能な検出器の開発に成功したという。

O.5mmのシンチレータを用いた高分解能PET用検出器(左)とそれを用いた小動物用PET検出器リング(右)

またブロック検出器8個をリング状に配置し、小動物用PET装置を構成し、性能評価を実施したところ、0.7mmの空間分解能を得ることに成功したという。

今回開発された小動物用超高分解能PET装置(左)とそれによって測定されたマウスの頭部画像(右)

この空間分解能は、2013年10月の時点で世界最高のものとなるとのことで、今後、今回開発された小動物用PET装置をPET/MRI一体型装置などへと応用していくことで、分子イメージング研究分野における創薬研究などで威力を発揮することが期待できると研究グループでは説明しているほか、同機構を採用した小動物用PET装置そのものの商品化も期待できるとしている。