Siemensは10月21日、コントローラ「SIMATIC S7」の新製品として、外部からの不正アクセスを防ぐ制御セキュリティに対応したPLC「SIMATIC S7-1500」ファミリを発表した。
製造、流通、サービス業界などでは、設備設計期間の短縮、コスト削減、稼働率の向上などの課題を抱えている。同時に、偶発的なトラブルによる製造ラインの停止、ネットワークを経由したサイバー攻撃など、これまで以上に不測の事態への対策を求められている。こうした課題に対応するため、同製品は製造装置や生産設備の制御システムを構成する機器単体の性能のみだけでなく、それらを組み合わせたシステム全体としての設計・診断機能を充実させ、セキュリティを強化させることができる。
具体的には、 インターネット環境と分離するファイヤウォールやVPN機能、コントローラへのアクセス権限を4段階まで設定できるアクセスプロテクト、ネットワーク経由でのなりすましによる不正なアクセスを防ぐ機構、重要な制御プログラムやデータを部分的にパスワードで保護するノウハウプロテクト、丸ごとコピーした制御プログラムを他のコントローラでは実行させないコピープロテクトなど、5つの機能により、制御セキュリティの多層防御を実現した。また、万一、コントローラにセキュリティの脆弱性が発見された場合には、設備に組み込まれた状態でもネットワーク経由でコントローラのOSをバージョンアップできる仕組みを搭載している。
さらに、システム診断機能では、コントローラ本体だけでなく、ネットワークで接続されたリモートI/Oステーションやドライブ機器まで対象とする包括的な診断ができる。診断情報は、コントローラ前面に内蔵された液晶パネル、外付けの表示パネル、PCのインターネットブラウザにて確認できる。加えて、TIAポータルによる制御システムの設計や保全の効率化を図った。コントローラのプログラムだけでなく、表示パネルの画面、ドライブやネットワークの設定など制御設計に必要な機能を1本のソフトウェアに統合した他、複数の機器で使用する制御設計データを、1つのデータベースで管理するため、従来のデータ更新作業が不要となり、設計期間を大幅に短縮できる。この他、制御設計の作業フローを考慮したポータル画面の採用により、直感的に操作が可能。複数の機器を同時に扱うことができるので、設計やモニタ操作中でも機器の切り替えを自由に行うことができる。
なお、価格は9万9200円(税別、CPU本体価格)から。11月1日より出荷を開始する。