日立製作所は、機器の製造・販売をグローバル市場で展開する国内企業に向け、SaaS型機器ライフサイクル支援サービス「Global e-Service on TWX-21」に、M2M(Machine-to-Machine)を活用した機器のライフサイクル管理を実現する機能を拡充した「Global e-Service on TWX-21/M2Mサービス」(M2Mサービス)を開発し、2013年12月1日から申し込みを受け付ける。
Global e-Service on TWX-21は、機器の製造・販売、稼働や保守などの情報を収集・蓄積し、その情報を共有・利活用することで、機器のライフサイクル管理を実現するクラウドサービスである。今回、情報収集した稼働情報の閲覧や異常な状況を知らせるアラーム、遠隔停止などの機能を拡充したほか、管理したい機器から情報を収集するために必要な通信事業者が提供するデータ通信サービスも含めて提供する。
M2Mサービスを活用することで、自社での新たなアプリケーションの開発の必要がなく、迅速かつ低コストで、M2Mを活用した機器のライフサイクル管理のシステムを構築できる。これにより、稼働状況や位置などの情報とGlobal e-Service on TWX-21に蓄積した保守情報などの機器ライフサイクル情報を組み合わせて分析した結果を活用し、顧客ニーズを反映した新製品の開発や保守作業の効率化、在庫の最適化といった、アフターサービスの高度化を実現する新たな価値を創出することができるという。
近年、機器を製造・販売する国内企業は、機器単体の性能、高機能化を追求する従来のビジネスモデルより、さらなる高収益が期待できるメンテナンス、機器保守や部品販売などのアフターサービス事業への関心が高まっている。また、製造業のグローバル展開に伴い、自社でITインフラを所有することによる維持・運用コストや人的リソースを抱えることが経営上の負担となっており、低コストで効率的な機器のライフサイクル管理を行うことが求められている。さらに、「製品に不具合が発生した際、その原因の切り分けや具体的な対策立案に時間がかかってしまう」「部品の需要が分からず、部品の過剰在庫や欠品が発生しやすい」といった課題も抱えており、世界中で稼働している機器からの情報を適切なタイミングで把握したいという需要が増えているという。
日立は、日立建機が世界100以上の国・地域で運用・蓄積してきた業務ノウハウを生かし、クラウドサービスで提供するSaaS型機器ライフサイクルサービスGlobal e-Service on TWX-21を開発し、2012年9月から提供している。今回のM2Mサービスは、Global e-Service on TWX-21に、M2Mのシステムに必要な機能を拡充したほか、通信事業者のデータ通信サービスを加えて提供するものである。
例えば、自動収集した稼働情報をタイムリーに活用し、最適な保守計画の立案や的確な保守部品の携行による業務効率化を実現するほか、アラーム情報を活用し、故障対応の時間短縮によるアフターサービスの顧客満足度向上などにつなげることができる。また、遠隔での機器への命令・制御を実現する機能により、盗難時に機器の遠隔停止やロックといった事後対策が可能となる。
さらに、M2Mサービスで新たに取得可能となる稼働情報や位置情報に加え、既にGlobal e-Service on TWX-21上に蓄積されている機器のライフサイクルに関わるさまざまな情報を組み合わせることで、現場や地域特有の顧客ニーズを反映した新サービス・製品の開発や正確な部品需要予測に基づく生産計画の策定やコストの最適化など、全社視点での売上拡大・経営効率化をサポートする。
日立では、これまでもユーザーへM2Mの仕組みを提供すると同時に、自身がいち製造業としての立場で、M2Mの企画、導入、運用を推進し、課題解決のノウハウを蓄積してきた。このような実業で培った技術やノウハウをもとに、M2Mサービスにおいてもセンサー、端末、通信キャリア、分析技術、アプリケーションなど、多岐に渡る構成要素を考慮して機能を強化した。