東京都・白金のギャラリー「児玉画廊 | 東京」では、細く絞り出したアクリル絵の具で立体的な構造体をつくりだす竹村文宏の個展「真空」を開催している。開催期間は11月9日まで(日月祝は休廊)、開場時間は11:00~19:00。入場無料。
同展は、アクリル絵の具を細く絞り出し乾燥させたものを組み合わせて、キャンバス上で立体的な構造体を精密に構成していく作品を制作している現代アーティスト、竹村文宏の個展。一見、プラモデルやジオラマのようであり、針金や糸などといった芯材を使っているかのように見えるが、あくまで絵画表現の延長線上にある、絵の具のみで作られた「ペインティング」作品である。
なお、竹村文宏は初期においては主にドローイングを制作し、それは強弱のないフラットなタッチで引かれた線によって、精密に描き込まれた地図や衛星写真のような俯瞰図を思わせるものだった。ただし、「線と線を決して交差させない」というルールにのっとって描かれていたため、常に線描が突き当たりをさまよい、空間表現の手法を無視したような独特のスタイルで制作されていた。それは、絵画上の層(レイヤー)に対する竹村の問題意識に起因しており、前述の「線を交差させない」ルールによる制作の後に、今度は「線描を画面からつまみ上げる」という、今回の個展で披露されているアイデアを実践するようになった。