シマンテックは10月16日、2013年版ノートンレポートの調査結果を発表した。過去1年間にサイバー犯罪に巻き込まれたオンラインユーザーの数は減少しているにもかかわらず、被害者一人当たりの平均被害額は50%増加したという。日本では、48ドル(約4799円)から294ドル(約2万9394円)と、大幅な増加を記録した。
今回のレポートでは、スマートフォン利用者の増加に伴い、多くの消費者が利便性を享受する一方で、安全性が犠牲になっていることが明らかになっている。調査対象者の63%(日本では44%)が個人用のスマートフォンを所有し、タブレット端末についても30%(日本は15%)が所有しているにもかかわらず、2人に1人近く(日本38%)が、「パスワードの使用」や「セキュリティソフトの利用」「モバイルデバイス上のファイルバックアップ」といった基本的な予防措置を行っていなかった。
シマンテックのCTOスティーヴン・トリリング氏は「残念ながら、消費者は、自分のコンピュータには安全対策を講じても、スマートフォンやタブレットを保護する意識が一般的に不足している。例えるなら、自宅には警報システムを備えておきながら、自分の車の窓は大きく開けたまま、鍵もかけていないような状態だ。これによって、消費者のデジタルIDは危険にさらされる」とコメントしている。
また、調査対象者の34%(日本は24%)が、「潜在的なセキュリティリスクよりも常時インターネットと接続している利便性のほうが優先される」と答えている。ほかに、調査対象者の61%(日本51%)が「オンライン上にあるものはすべて、誰でも見ることができる、または見えるようになる」と答えており、「今日の世界では『オンラインプライバシー』は実質存在しない」との回答率もほぼ同じ62%(日本43%)にのぼる。
これらの結果は、多くの消費者が自らの個人情報を公にしてしまうような危険な行動を取っており、サイバー犯罪の次の犠牲者となる危険性が高いことを示唆しているという。
トリリング氏は「今日のサイバー犯罪者は、従来よりも多額の金銭を奪取するランサムウェアやスピアフィッシングなどを用い、より洗練された攻撃を仕掛けている」と述べている。また、「消費者の49%(日本32%)が、仕事と娯楽の両方において私物のモバイルデバイスを使用しているような状況では、サイバー犯罪者が企業の重要な情報にアクセスできる可能性が広がっており、企業にとって新たなセキュリティリスクが生まれている」と警告している。