日本HPは10月17日、データセンターのコアルータや企業のセンタールータとして使用可能なハイパフォーマンスモデル「HP HSR Routerシリーズ」、および企業の支社、支店、営業所などのブランチオフィスや、小規模の営業拠点・店舗からWANを介して本社と接続するためのマルチサービスルータ「HP MSR Routerシリーズ」を発表した。
同社はこれまで小規模な支社や中小規模企業向けのHP A-MSR20-20シリーズのみの展開だったが、今回フルラインナップをそろえ、エンタープライズ向けに市場に本格参入する。
日本HP HPネットワーク事業本部 事業本部長 多田直哉氏は記者発表において、2016年にエンタープライズ向けルータ市場シェアの10%獲得を目指すとした。
「HP HSR Routerシリーズ」では、データセンターコア向け「HP HSR6800」と、企業のセンター向け「HP HSR6600」の2シリーズを展開。いずれもネットワーク製品で共通の「Comware OS Version 5」を搭載し、機能追加のためのソフトウェアライセンスは不要。
HP HSR6800シリーズは、データセンター/大規模ネットワークコアに適したシャーシ型ハイエンドルータで、「HP HSR6802」(パケット転送能力120Mpps)、「HP HSR6804」(パケット転送能力240Mpps)、「HP HSR6808」(パケット転送能力420Mpps)の3モデルを展開。Main Processing Unit (MPU)、Switch Fabric Engine(HP6808で使用)、Flexible Interface Platform (FIP)の3つのモジュールで構成される。価格は469万4,550円~。
HP HSR6600シリーズは、企業向けネットワークのセンターに適したハイパフォーマンスルータで、「HP HSR6602-G」(標準2GBメモリ)、「HP HSR6602-XG」(標準4GBメモリ、10GbEインタフェース搭載)の2モデルを展開。価格は249万2,490円~。
「HP MSR Routerシリーズ」は、ブランチオフィスと本社をWANで接続し、ブランチオフィスに本社と同じネットワーク環境を提供するための様々なソリューションを実装したマルチサービスルータ。企業の支社、支店、営業所などのブランチオフィス向けの「HP MSR2000/3000/4000」、および小規模営業拠点・店舗向け「HP MSR930」の計4シリーズをラインナップする。
いずれもHPネットワーク製品で共通の「Comware OS Version 7」を搭載し、機能追加の ためのソフトウェアライセンスは不要。新しいアーキテクチャー(マルチコアプロセッサー、ギガビット対応、PCIEバス)に対応し、パフォーマンスを向上。また、多拠点でのインターネットVPNの運用を容易にするAuto Discovery VPN(ADVPN)機能を搭載する。
HP MSR3000シリーズは「HP MSR3012/3024/3044/3064」の4モデルを用意。2つもしくは4つのSIC、また1、2、4もしくは6つのHigh Speed Multiple Interface Card(HMIM)を搭載可能。パケット転送能力は2Mpps/5Mpps、IPSec処理性能は3.3Gbps、IPSecセッション数は4000。本社および中規模支店に適したモデルで価格は29万9,250円~。
HP MSR4000シリーズは「HP MSR4060/4080」の2モデルを用意。6つもしくは8つのHMIMを搭載可能。パケット転送能力は10Mpps/20Mpps、IPSec処理性能は8Gbps、IPSecセッション数は8000。本社および大規模支店に適したモデルで価格は161万7,000円~。
HP MSR2000シリーズは「HP MSR2003」の1モデルを用意。3つのSmart Interface Card(SIC)を搭載可能。パケット転送能力は1Mpps、IPSec処理性能は400Mbps、IPSecセッション数は1000。中・小規模支店に適したモデルで価格は14万9,100円~。
HP MSR930シリーズは小規模ブランチオフィスに適した、運用が容易でコンパクトなボックス型VPNルータ。ギガビットイーサネット WAN x 1ポート、LAN x 4ポート搭載。300kppsのパケット転送能力。多拠点でのインターネットVPNの運用を容易にするADVPN機能を搭載。Webブラウザによる簡単設定とUSBメモリによる自動設定を実現する。価格は9万300円~。
多田氏は、エンタープライズルータ市場に参入する背景を、2013年から2017年にかけ、国内市場はスイッチが1.5%の成長に対して、ルータは9%成長が見込まれる点や、現在、ハイブリッドクラウドの普及拡大、コミュニケーションツールの普及、モバイルデバイスの教務活用が増加という大きな3つの潮流があり、既存のルータではパフォーマンス不足だという点を挙げた。
同氏によれば、主力は「HP MSR Routerシリーズ」で、全体の7割程度を占めると予測しているという。
日本HP インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 HPネットワーク製品企画部 深川佳公氏によれば、新製品の特徴は、価格性能比の高さや、コントロールプレーンとデータプレーンを分離したことやによる信頼性の高さだという。
また、多田氏は「新製品はSDNの完全性を担保する上で重要なパーツになる」と語った。なお、SDNに対応したアップデートモジュールは、年明けから順次提供するという。