Steve Jobsが逝去して2年が経過した。AppleファンやIT業界を超えて大きな影響を与えた人物であり、その逸話や哲学はいまでも語り継がれている。Forbesの技術ジャーナリストがJobs氏の教訓をまとめた記事「Steve Jobs氏の4つの言葉から得る教訓(原題:Lessons Learned From 4 Steve Jobs Quotes)」を掲載している。

Jobs氏の言葉はあちこちで引用されているので「特に目新しい発言ではない」と言う人も多いだろう。だが、どれも定期的に読み直して心に刻みたいものばかりだ。

過去の失敗を思い悩むな

多数の革新的な製品やサービスを世に送り出したJobs氏だが、彼も完全無欠というわけではなく、成功ヒストリーの裏では開発の過程で多くの失敗を経験している。「スティーブ・ジョブズ -パーソナル・コンピュータを創った男(原題:The Journey Is the Reward)」に、「イノベーションの途中で間違えることがある。間違いをすぐに見つけて、他のイノベーションとともに改善していくのがベストだ」というJobs氏の言葉がある。

誰しも仕事やキャリアの過程で間違えることはある。ミスを悔やみ続けるのではなく、次の行動に移した方が良い。もしあなたがモバイルアプリの開発者だったとして、自分のアプリのダウンロード数が伸びない状況に陥っているとしよう。現状を打破するためには、だらだらと小さな改善を積み重ねるのではなく、いっそ新しいアプリに作り直してしまえばいいのだ。

Jobs氏には「iPhone」や「iPod」などのヒット製品がある。一方で、「Apple Lisa」や「Macintosh TV」「Apple III」などは必ずしも成功とは言い難い。ミスのない人間はいないのだ。失敗や同僚のフィードバックから学び、改善、そして挑戦し続けることが大切といえる。

自分がやっていることを好きになる

あなたは仕事が好きだろうか。Gallupの調査によると、米国人の70%は「自分の仕事が嫌い」か「積極的に関わりたくない」と回答している。10人中7人が、「仕事は仕方なしにやるもの」と割り切っているようだ。

「仕事が人生の時間の多くを埋めることになる。満足を得るたった一つの方法は、自分がすばらしい仕事だと思えることに従事することだ。そして、素晴らしい仕事をするたった一つの方法は、自分がやっていることを好きになることだ」とJobs氏は述べている。

自分が情熱を持てる仕事は、すぐに分かるわけではない。もし、今の仕事で満足感を得たいのであれば、自分のルーティン作業に加えて、自分が情熱を感じるプロジェクトに着手してはいかがだろう。仕事が嫌でたまらないといっても、それに甘んじて日々を過ごすのではなく、次に繋げる何らかの行動をとるべきだ。

群を抜いて優れた存在になること

キャリアを形成する上で、卓越した存在になる、他人とは違う存在になることは重要である。もちろん、手を抜いて楽をしていては、そのような存在にはなれないだろう。それどころか、解雇や部署の異動などが待ち受けているかもしれない。

1984年にMacintoshをリリースした際、Jobs氏はインタビューで「われわれは自分たちのビジョンに賭けている。模倣するよりもそれを選んだ。模倣製品は他社が作ればよい。われわれはいつも次の夢が大切なのだ」と述べたという。

大きな夢を持ち、スマートに働くことが、キャリア形成の第一歩となる。

自身の成功を支えてくれた人物に感謝する

Jobs氏が病気療養中に、GoogleのCEOをEric Schmidt氏から交代したLarry Page氏がJobs氏を尋ねてアドバイスを求めた。

GoogleのAndroidとiPhoneのシェア争いが激化する時期であったことから、Jobs氏は拒否しようとしていた。しかし、Jobs氏が若かりし時代に、「Bill Hewlett(HPの共同創業者)をはじめ、多くの仲間に助けられた」ということを思い出して、Page氏の願いに応じることにしたという。

Jobs氏はこの時、Page氏に製品フォーカスをしぼることなどのアドバイスをしたという。Page氏は実際にこれを行動に移し、その後多数のプロジェクトを整理している。

自分を応援してくれた人への感謝を忘れないこと。一緒に働かないかと声をかけてくれた人や難航したプロジェクトを助けてくれた人、フィードバックをくれた人などとの関係を大切にした方が良い。キャリアだけではなく、人間関係がさらに豊かになるはずだ。