菱熱工業は10月16日、福井県南越前町に植物工場「ビタミンファーム」を建設し、植物工場ビジネスに参入することを発表した。
同工場は、福井県の「企業的園芸参入支援事業」の許認可を受け、2013年10月下旬に着工。延べ床面積は1417m2で総工費は3億4800万円、2014年3月の本格稼働を予定している。
同工場では「独自の配合技術を施した培養液の使用」と「栽培室全体のダクトレス化」が図られているほか、乳酸菌飲料工場などのエンジニアリングビジネスで培った、フィルタを用いた殺菌技術の応用や、植物に対して成長を促すストレス管理を含めた「Ryonetsuヘルスメンテナンスシステム」の採用により、野菜の「長鮮度」と「栄養価調整」を可能にするという。
また、空調には空冷ヒートポンプマルチパッケージエアコンを使い、栽培室全体にダクトレスで温度を調節した風を送る「Ryonetsuリレー空調システム」を採用。これにより栽培環境(温度・湿度・CO2濃度)の均一化を低コストで実現したとする。
栽培が予定されているのはリーフ系レタスなどの葉物類(最大生産数:日産4400株)で、加工野菜市場に特化し、大手食品工場などに売り込む計画。栽培工程は、クリーンルームで種を植えつけ、温度25℃・湿度80%で2日間発芽させ、続いて温度23℃・湿度70%で30日間栽培棚で苗を育てて収穫、トリミングして包装する形となる。
なお、同社では将来展望として、自社以外の植物工場の設計施工などプラント・エンジニアリング事業、明治大学農学部の池田敬准教授との共同研究による新品種の開発に取り組むなど、"植物工場の総合エンジニアリング企業"としてソフト・ハードの両方を提供していくほか、植物工場のメリットの1つである栽培工程の標準化を活用することで、同町内、県内から正社員・パートを募集し、5年以内に15名程度の地元雇用を目指すとしており、こうした植物工場ビジネスの"新しい形"の実現を進めることで、3年後に10億円の売り上げを目指すとしている。