東洋新薬は10月15日、兵庫県立大学の辻啓介 名誉教授との共同研究により、同社が販売する「葛の花エキス」に、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の発症を抑制する作用があることを確認したと発表した。

同成果の詳細は、10月11日ならびに12日に開催された「第34回 日本肥満学会」において発表された。

葛の花エキスは、葛の花部から抽出して製造される機能性食品素材。マメ科のつる性植物である葛は、従来、乾燥させた根を漢方処方の葛根湯などとして用いられてきた素材で、同社ではこれまでの研究から、葛の花エキスを継続的に摂取することで、腹部内臓脂肪や皮下脂肪を低減させる抗肥満効果があることを臨床試験で確認しているほか、高脂肪食とアルコール摂取による脂肪肝発症抑制作用なども確認している。

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態のことで、その主な原因としては高脂肪食やアルコールの過剰摂取が挙げられるが、アルコールを摂取しない場合でも(NAFLD:Non-alcoholic fatty liver disease)と呼ばれる疾患にかかる可能性があることが知られているほか、NAFLDの一部は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-alcoholic steatohepatitis)や肝がんに進行するリスクがあるとも言われている。

特に日本人はNAFLDの罹患率が高く、成人の約30%、成人男性では5人に2人、成人女性でも5人に1人がNAFLDの罹患者であるという報告もある。

どうした背景から、今回研究グループでは、ヒトのNAFLDおよびNASHに類似した病態を発症するモデルマウス(STAMマウス)を用いて、葛の花エキスの効果検証を行ったという。

具体的には、STAMマウスを、葛の花エキスを5%含む飼料(葛の花エキス群)、ならびに葛の花エキスを含まない飼料(コントロール群)の2群に分け、それぞれの飼料を28日間摂取させた後、各マウスを解剖し、肝臓の中性脂肪含量測定および肝臓の切片を作成し、オイルレッド染色による脂肪蓄積面積の評価を実施したという。

その結果、コントロール群と比較して葛の花エキス群では、肝臓の中性脂肪含量及び脂肪蓄積面積が有意に低値を示したとのことで、これにより葛の花エキスがNAFLDの発症抑制に有効であることが示されたと結論付けたとする。

なお同社は今後も葛の花エキスの機能性の解明を進めていくことで、独自性の高い商品の開発につなげ、より一層の拡販を目指していくとしている。