横浜市立大学は10月10日、漢方薬が脂肪細胞機能を改善して食事量を減少させ、肥満防止効果があることのメカニズムを解明したと発表した。
今回の研究は、医学部循環器・腎臓内科学の田村 功一准教授、涌井広道助教、大学院生の小豆島健護医師らの研究グループによるもの。米国科学誌「PLoS ONE」のオンライン版に掲載された。
研究では、内蔵脂肪型肥満の生活習慣病モデルマウス(KKAyマウス)に漢方薬「防風通聖散」を投与することにより、コントロールと比較して、体重増加、食事量増加、血圧上昇が継続的に抑えられることが判明したほか、白色脂肪細胞の小型化が促進されて内臓脂肪量の減少を確認できたという。
また、血液中にある悪玉コレステロールのLDLコレステロールの低下、および脂肪細胞から分泌される抗動脈硬化ホルモンのアディポネクチンの上昇が認められたほか、褐色脂肪細胞の活性化による深部体温の上昇も認められたという。
さらに、食事量減少もみられたことからそのメカニズムを解析したところ、防風通聖散は食欲増進ホルモンのグレリンの血中濃度の低下作用があることがわかった。
今回の研究により、防風通聖散の作用機序を明らかになったことで、今後は生活習慣病に対する西洋医療と東洋医療の併用療法(統合医療)の推進する考えだという。