NICTのスマートワイヤレス研究室 室長 原田博司氏。「今後、電力だけでなく、防災や農業の分野でもWi-SUNを活用していきたい」と語る。

情報通信研究機構(NICT)は10月9日、NICTが研究開発・標準化推進する国際無線通信規格「Wi-SUN」が、東京電力の次世代電力量計「スマートメーター」と宅内エネルギー管理システム「HEMS」との間(通称Bルート)の無線通信規格として採用されることが決まっことを受け、Wi-SUN規格の現状を報告する記者説明会を開催した。

Wi-SUNが内蔵された東京電力のスマートメーターは、平成26年度中に200万戸、平成35年度には2700万個へ導入される見込みだという。

Wi-SUN規格を策定した背景には、スマートハウス内でHEMSとスマートメーターが電気機器と相互通信するときのエネルギー管理アプリの通信規格「ECHONET Lite」がネットワークにおけるセッション層・プレゼンテーション層・アプリケーション層を規程するものであり、その下位層であるトランスポート層・ネットワーク層・データリンク層・物理層などの実通信の方式を規定しておらず、そこに対応する規格が定まっていなかったことにある。

NICTは、2012年の1月にこの下位層およびECHONET Lite規格のアプリケーションに対応した国際無線規格「Wi-SUN」を策定し、国際規格化、普及のために活動開始。2013年の5月にECHONET LiteおよびWi-SUN規格搭載の無線機の開発に成功したという。

開発したWi-SUN無線モジュール

Wi-SUN規格は、IEEE802.15.4g/4eおよびIPV6をベースにする無線規格で、周波数は920MHz帯、伝送速度は50k/100k/200kbps、通信距離は500m。モジュールの消費電力は低く、単3電池3個で10年間もつ。