デザイナーを志す学生たちにとって、憧れの企業やデザイン事務所への就職は、4年間の学生生活における大きな目標のひとつ。彼らが入社したいと夢みている企業は、どのようなところなのでしょうか? 都内の美術大学に通う現役学生20名に「入社してみたい企業・デザイン事務所」を聞いてみました。
■DRAFT
「他社のためのデザイン・広告の仕事だけでなく、自社から発信しているものがあるから」(23歳/女性)
デザイン事務所DRAFTは、オリジナルブランドD-BROSで文具/カトラリー/インテリアなど、生活を彩る様々なデザインプロダクトを展開。どの商品にも独特の美しい世界観が宿っています。学生からの認知度・人気も非常に高く、就職は狭き門です!
■資生堂
「海外ブランドにも負けない、強い資生堂ブランドの力に惹かれるので」(20歳/女性)
製品のパッケージデザインからTVCM、店舗デザインに至るまで、企業にかかわるデザインの多くを自社で行っている資生堂。社内の「宣伝部」には現在約100名のクリエイターが所属しているのだそう。また、創刊から75年間続いている企業文化誌『花椿』にも、その美意識へのこだわりが詰まっています。
■コム・デ・ギャルソン
「単純に、憧れです!」(21歳/女性)
デザイナー川久保玲によって1969年に設立されたファッションブランド。今もなお日本のファッション業界を牽引するブランドとして一線に立っています。若者のブランド離れの傾向も見られる今日ですが、デザインに関心の強い学生にとっては、変わらず憧れのブランドなのですね。
■博報堂
「佐藤可士和、佐野研二郎、森本千絵…と今話題のトップクリエイターがこぞって博報堂出身だから」(20歳/女性)
やはり不動の人気を誇るのは、博報堂、電通、ADKといった大手代理店。卒業後に代理店へ就職し、数年後に独立……というキャリアは、デザイナーとしてのサクセスストーリー。実に狭き門ではありますが、夢はまず抱かなければ実現しません! 毎年多くの学生がポートフォリオに磨きをかけて入社試験に挑んでいます。
■スマイルズ
「PASS THE BATONで取り扱っている商品が、キギやミナペルホネンなど、様々なデザイナーとタッグを組んで作られていて、魅力的なので」(19歳/女性)
スープ専門店「Soup Stock Tokyo」の運営からスタートし、現在ではセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」やオリジナルブランド「giraffe」、「my panda」の展開も行っているスマイルズ。オリジナル商品はいずれもデザイン性が高く、古着やデッドストック品に価値を吹き込むというビジネス理念も魅力的ですよね。
■ピエ・ブックス(パイ・インターナショナル)
「日本のデザインの意識を捉えているので」(21歳/男性)
デザイン・アート関連書を中心に、おしゃれな本を世に送り出しているピエ・ブックス。扱うテーマも新鮮で、装丁デザインにもこだわりが感じられます。筆者も本屋さんで「かわいい!」と手に取った本が同社のものだったという経験がよくあります。
■MR_DESIGN
「インターンに伺ったことがあり、そのオフィス空間のかっこよさはもちろん、佐野さんの快活な声を中心にみなさんが働いている空気もステキだったので」(21歳/女性)
au「LISMO!」、日光江戸村「ニャンまげ」、「GREEN DAKARA/グリーンダカラちゃん」など、誰もが目にしたことのあるCMクリエーションを手掛ける佐野研二郎氏のデザイン事務所。生み出す作品のかっこよさはもちろん、「この人の下で働きたい!」という直感は大切ですよね。
アンケート結果を見ると、大手企業から少数精鋭のデザイン事務所まで、さまざまな企業名が並びました。いずれの企業も芯のあるクリエーションを貫いているという印象です。作品に惚れ込み、そしてそのチームの一員としてものづくりに携われることはデザイナーにとって大きな喜び。現役の学生でなくとも、クリエイターであれば憧れの企業を目標にし、モチベーションを保っていきたいですね。