シトリックス・システムズ・ジャパンは10月3日、同社のネットワークおよびクラウド事業戦略を発表すると同時に、シスコシステムズとの協業を強化し、従来のデスクトップ仮想化分野における協業に加えて、クラウドネットワーキング分野においても協業を開始した。
具体的には、アプリケーション・デリバリー・コントローラ(ADC)であるCitrix NetScalerをCiscoブランドとして、Citrix NetScaler 1000Vで展開。 これにより、Citrix CloudPlatformから、Cisco UCSマネージャーを使用して、Cisco UCSを展開することが可能になるほか、Cisco Nexus 1000Vや、Cisco ASA 1000Vと連携し、シスコが提供する仮想ネットワークやネットワークサービスを利用することが可能になる。
なお、Citrix NetScaler 1000Vの販売、製品サポートについては、今後シスコシステムズ社より提供される予定。
シトリックス・システムズ・ジャパン クラウド ネットワーキング ソリューション事業部長 兼 パートナービジネス担当 鈴木和典氏は、ネットワーク事業の戦略は、プロダクト、ハイタッチ、チャネルの3つだと説明。
プロダクト戦略では、NetScaler、CloudBridge、ByteMobileの3つの製品を柱とし、これらの製品のシェアの拡大と新しいマーケット開拓を行っていくという。
ハイタッチ戦略では、サービス事業者に特化したメッセージの訴求を図り、トータルソリューションによる差別化提案、L4-L7 ADC市場の獲得を行っていくという。
チャネル戦略では、メジャーアカウントに対する協業、パートナーエコシステム推進などのパートナー戦略、未開拓の顧客を獲得するためのディストリビューション戦略、ジョイントソリューションによる価値向上などを行う。シスコとの協業強化もこの一環だ。
また、シトリックスはネットワークおよびクラウド事業強化のため、営業組織および販売チャネルを強化。クラウドネットワーキングを担当する営業組織の拡充として、クラウドネットワーキング専任のハイタッチセールスを強化する他、戦略パートナーとのアライアンスのための人員を倍増させる。そのほか、販売パートナーの開拓および育成にむけた教育プログラムと営業支援体制も強化するという。
CloudPlatform 4.2とCitrix CloudPortal Business Manager 2.1の提供開始
さらにシトリックスは同日、Apache CloudStackをベースに開発された商用のクラウド基盤ソフトウェア「Citrix CloudPlatform 4.2」と、クラウドサービス管理ソフトウェア「Citrix CloudPortal Business Manager 2.1」の提供を開始した。
Citrix CloudPlatform 4.2では、70以上の新機能と機能改善が行われているという。同製品は、今回、べースのApache CloudStackのバージョンを4.2にアップ。4.2では、57の新機能と29の機能改善、160のバグフィックスが行われているという。
エンタープライズ向けの新機能ではリソース占有機能、VMwareとの連携強化、Ciscoとの連携強化などが搭載されている。リソース占有機能は、CPUやメモリ、ディスクなどのリソースを、特定の企業に占有させることが可能なった。単位としては、サーバ単位、グループ単位、ゾーン単位での占有が可能だという。
VMwareとの連携強化では、CPU、RAMの動的の変更、VMスナップショット、分散仮想スイッチへの対応などが行われている。
Ciscoとの連携では、Cisco UCSのワークロードをCloudPlatformから直接ネイティブにプロビジョニング・管理でき、またCloudPlatform内でCisco Nexus 1000V SwitchおよびCisco ASA 1000V Firewallを活用できるようになった。
サービスプロバイダー向けの機能拡張では、リージョンの考え方を導入し、複数のゾーンを管理し、異なる地域に複数のリージョンを構成することで、ディザスタリカバリー(災害復旧) を実現することも可能になった。また、Amazon S3ベースのオプジェクトストレージに対応し、セカンダリストレージとして利用可能になっている。
一方、CloudPortal Business Manager 2.1では、クラウドサービスカタログ、カスタマイゼーションSDK、BSS (ビジネス支援システム) / OSS (運用支援システム) API、シトリックスおよびパートナーのコネクター、パフォーマンスおよびユーザーエクスペリエンスの改善が行われている。