NECは10月2日、モバイルネットワークにつながる携帯電話やスマートフォンなど端末の位置の変化を予め推定することで、位置情報の管理に必要な信号処理の負荷を大幅に低減しながら、より多くの端末を柔軟に管理できる技術を開発したと発表した。

昨今、モバイルネットワークの急速な拡大に伴い、モバイル端末や自動車など多数のデバイスがモバイルネットワークを介して相互に通信を行うようになり、そこで発生する膨大なデータ(ビッグデータ)の活用が期待されている。

移動する様々なデバイスに対して確実な通信を提供するため、通信事業者は、デバイスの位置情報をコアネットワーク側で把握する必要がある。現在、通信事業者は、携帯電話利用者の移動パターンをもとに、管理エリアをコアネットワーク側で予め設定し、デバイスがあるエリアから別のエリアへ移動した際に、新しい位置を再登録するという管理をしている。しかし、モバイルネットワークに接続するデバイスの種類が多様化し急増する中、それらの移動パターン(スピードや方向)も多岐にわたるようになり、デバイスの位置を知らせる信号が、大量に送信されることで通信事業者側の管理負荷の増大が課題となっている。また、通信事業者側からデバイスに着信信号を送る際にも、管理エリア内の全ての基地局に対して、一斉に呼び出しをかけるページングという処理がされているが、実際にはデバイスが存在しないエリアの基地局にも信号が送られているため、無駄な管理負荷が発生する要因となっている。

今回開発した技術は、デバイスの不規則な位置の変化を推定し、管理エリアを動的に設定する。例えば、高速に移動するデバイスは移動方向に対して広く、低速に移動するデバイス場合は狭く、管理エリアを自在に設定することができる。これにより、デバイスの位置登録の頻度と、対象となるデバイスが存在しないエリアへの呼び出しが低減し、デバイスの位置管理にかかる信号処理を大幅に削減できるため、通信事業者は、既存の管理サーバでより多くのデバイスを運用できるようになり、設備投資コストも抑制できる。

具体的には、位置の履歴を保存しない独自の軽量アルゴリズムで、不規則に移動するデバイスの位置変化を高精度に予測する。さらに、従来のように予め管理エリアを設定するのではなく、位置の変化の推定結果を用いて動的に適切なエリア設定を行うことで、位置登録の更新頻度を約50%削減するとともに、ページングのための信号処理頻度を約75%削減する。

今後、同技術の実用化を進めるとともに、モバイルネットワークをはじめ、ビッグデータ時代を支える情報通信技術の開発に積極的に取り組んでいくとしている。