クラレと産業技術総合研究所は10月2日、太陽電池モジュールのコスト削減、軽量化に寄与する高耐久性の封止材用PVB(ポリビニルブチラール)フィルムを開発し、市場でのサンプリングを開始したことを発表した。
近年の再生可能エネルギー需要の高まりから、住宅への太陽電池の設置やメガソーラープラントの建設が急増し、太陽電池モジュールおよびその部材の需要も拡大しているが、そうしたモジュールに対するコスト削減や軽量化といったニーズは根強く存在している。
今回の研究では、そうしたニーズに対応可能な太陽電池モジュールの部材の簡略化によるコスト削減と軽量化の実現に向けた高強度かつ高耐久性を有する太陽電池封止材用PVBフィルムの開発が行われた。
太陽電池モジュールの封止材は、発電素子である太陽電池セル、電極・配線などのモジュール内部を被覆する部材。水分浸入や衝撃から内部を守り、経年劣化や破損などによる出力低下を防止するという役割を果たすが、同フィルムを活用することで、太陽電池モジュール端部シールを不要にできるようになるほか、弾性率が高いため、荷重による負荷を低減することができるため、ガラスのたわみを小さくでき、モジュールの強度を保持することが可能となるという。
またこれらの特徴から、モジュール端部シールや、強度を補強するためのフレームや支持体を除去、削減することができるため、モジュール部材の簡略化、軽量化によるコスト削減が可能になるというとするほか、従来の封止材に比べ、経年劣化が起こりにくく、高い長期耐久性を実現できたり、PID(Potential Induced Degradation:電位によって誘発される出力低下)に高い耐性を発揮することが可能になるという。
なお、同フィルムの詳細は9月30日から10月4日にかけてフランス・パリにて開催されている「第28回 欧州太陽光エネルギー会議・展示会(28th European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition)」にて発表された。