ローランド ディー.ジー.(ローランドDG)は10月2日、歯科用ミリングマシン(切削加工機)「DWX-4」を開発、即日販売を開始したと発表した。

近年、歯科医療や歯科技工の現場ではCAD/ CAMシステムの導入によるデジタル化が進展しつつあるが、義歯や補綴物を製作するためのミリングマシンの導入はまだ大手が中心で、小規模の技工所は設置スペースの制限や投資コストに課題を抱えてた。

同製品は、高い加工精度は維持しつつそうしたスペースやコストの問題を解決することを目指して開発されたもの。サイズは幅340mm×奥行365mm×高さ405mmで、一般的なノートパソコン程度のスペースに設置でき、重量も22kgとちょっとした移動ならば可能となっている。

また、XYZの3軸に加え、前後方向に回転するA軸を加えた4軸機構を搭載したことで、スムーズで高精度な切削を可能としたほか、ATC(自動刃物交換装置)を標準で装備することで、2本の刃物を加工時に自動で交換することが可能となっている。これにより、荒削りと仕上げで刃物を切り替え、高効率な切削が可能となるという。材料はジルコニア、PMMA、ワックスといった義歯用素材に対応し、クラウンやブリッジなどの補綴物を製作することができる。

さらに、ミリングマシンに不慣れな人でも、簡単に操作が行えるように、本体に加工材料と刃物をセットした後、本体の電源を入れ、コンピュータ画面の操作パネル(Vパネル)から加工データを送るだけで切削が開始される仕組みを採用。加工完了やエラー発生時に電子メールで通知を受け取ることもできるほか、ユーザー補助機能として、LEDの色の変化によって動作状態を知らせるシグナルLED、材料の切削屑が加工表面に滞留するのを防ぐエアブロー装置、静電気による加工機内部への切削屑の付着を防ぐイオナイザー(PMMAなど、帯電性の材料切削時に有効)も搭載しており、高品質加工を手軽に実現することが可能となっている。

加えて、Vパネルを使うことで、1台のコンピュータから4台までのDWX-4を制御できるため、将来的に増設や複数台導入される場合にも省スペースで生産性を高めることが可能だ。

なお価格は176万4000円で、同社では発売後1年間で500台(国内・海外の合計台数)の販売を目指すとしている。

DWX-4の外観

義歯の製作例