富士フイルムは10月2日、鼻からの挿入で咽頭反射による嘔吐感を軽減する経鼻内視鏡の新ラインアップとして、検査時における体液など胃内の液体の吸引性能と処置具の操作性を向上した上部消化管用経鼻内視鏡「EG-580NW2」を、10月21日より富士フイルムメディカルを通じて発売開始すると発表した。

経鼻内鏡を用いた検査は、口から挿入する経口内視鏡を用いた検査に比べ、嘔吐感が少なく、検査中に会話できることから患者負担の少ない検査として注目されている。同製品は、先端部径を従来機よりもさらに細い5.8mmとしつつ、体液など胃内の液体を吸引したり、処置具を出し入れする鉗子口径を2.4mmまで拡大することで、従来機比約1.4倍の吸引性能と生検鉗子などの処置具の操作性向上を実現したという。

また、送気・送水性能の向上を追求し、送気・送水管の構造を改良。これにより検査中の内視鏡先端のレンズに付着した粘液などを送水して洗浄する過程で、水滴が残りにくくなったことから、視界が明瞭化され、検査時の医師のストレス軽減や検査時間の短縮につながることが期待されると同社では説明している。

さらに、従来機と同様に高解像度と低ノイズを両立する画像センサ「スーパーCCD ハニカム」と同社がカメラレンズの設計で培った歪みの少ない独自開発レンズを搭載することで、胃がん検査に必要な近景観察および遠景観察のどちらにおいても高い観察性能を提供することが可能になっているという。

なお、同社では、同製品をラインアップに加えることで、経鼻内視鏡のさらなる普及を図り、がんの早期発見に必要なスクリーニング検査の受診率向上に貢献することを目指すとしている。

左がEG-580NW2の外観。右がその先端部分