IDC Japanは10月1日、国内データセンターサービス(顧客企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンターで監視・運用するサービス)市場の最新の予測を発表した。2013年の国内データセンターサービス市場は、前年比8.5%増の9,926億円となる見込み。また、2012年~2017年は年間平均成長率7.0%で順調に成長すると予測されている。

この成長は、災害対策のためITインフラ運用体制やバックアップ体制の強化を図る企業が増えていることが要因となっているという。需要の拡大に合わせて、情報サービス事業者がデータセンターの新設/増設を進めていることも、市場の拡大を支えているとのことだ。

データセンターサービスには、サーバ設置スペースを顧客に貸し出す「コロケーション」と、データセンター事業者が所有するサーバを顧客に貸し出す「ホスティング」の2種類があり、このうち成長率が高いのはホスティングだ。ホスティングには、近年急速に利用が拡大しているクラウドサービスの一部が含まれており、市場拡大を加速させる要因となっている。

IDCは、従来、メールやWebアプリケーションなどのサーバとして使われることが多かったクラウドサービスだが、今後は企業の業務システムのサーバとして利用される事例が増えると予想している。大手データセンター事業者ではこうした市場動向を踏まえて、データセンター内でクラウドサービスをベースとした企業情報システム環境を構築/運用するサービス(マネージドサービス)を充実させているという。

IDCでは、データセンターサービス市場の地域別予測も行っている。これによると、東京都のデータセンターでは今後も全国平均を上回るペース(2012年~2017年の年間平均成長率8.3%)で市場が拡大することが見込まれている。また中国/四国地方(同9.4%)や北海道/東北地方(同8.0%)でも複数の大規模データセンターの新設/増設が進められていることから、市場が順調に拡大するものと予測される。

しかし、国内データセンターサービス市場では次第に事業者間の競争が激しくなっているうえに、電力コストの上昇によって、データセンター運用にかかるコストの抑制が課題となっている。「データセンター事業者は、自社のデータセンターポートフォリオを運用コストの観点から最適化していく必要がある」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。

国内データセンターサービス市場 サービスカテゴリー別売上額予測(2012年~2017年)