林原は9月30日、ヒトを対象とした研究において機能性糖質トレハロースにメタボリックシンドロームを予防する効果があることを確認したと発表した。

同成果の詳細は10月11日、12日に開催される「第34回日本肥満学会」にて発表される予定だという。

食品の品質を保ち、美味しさを引き出す糖質として食品分野で広く利用されてきたトレハロースは、これまでの研究から、高脂肪食摂取による脂肪細胞の肥大化を抑制し、耐糖能異常の進行を抑制することが動物実験から判明している。

今回の研究では、ヒトにおいても、脂肪蓄積と耐糖能異常は、メタボリックシンドロームに深く関与していることから、ヒトでもトレハロースのメタボリックシンドローム予防効果が実際にあるのかについての検証が行われた。

具体的には、肥満傾向(BMI23以上)の被験者34名(年齢47.4±6.7歳、BMI26.3±2.6kg/m2)を対象に、1日3回毎食時に3.3g(約10g/日)のトレハロース群または対照としてのスクロース群に分け(二重盲検)、それぞれ3カ月間の継続摂取を実施。摂取前と摂取3カ月後の身体測定、血液検査および耐糖能の指標とされる糖負荷試験による被験者ごとの変化率を求めたところ、トレハロース摂取により耐糖能の有意な改善が認められたという。

今回の結果について研究グループは、食事法の選択肢の1つとして、トレハロースを毎日の食事に継続して取り入れることで、"美味しく食事をしながらメタボリックシンドロームを予防する"という新たなメタボリックシンドローム対策の可能性が示されたとコメントしており、今後は、耐糖能の改善メカニズムを明らかにすると共に、メタボリックシンドローム予防に有効なトレハロースの利用についての探求を行っていく方針としている。

糖負荷2時間後の血糖値変化率。被験物質の摂取前と摂取3カ月後に糖負荷試験を実施。空腹時の血糖値を測定した後、グルコース75gを経口負荷し、その2時間後の血糖値を測定。空腹時の血糖値を100%とした場合の糖負荷2時間後の血糖値の変化率を、被験物質の摂取前後で比較した。この結果、トレハロースを3カ月間摂取した群では、スクロースを摂取した群に比べて糖負荷2時間後の血糖値が、空腹時のレベルにまで戻りやすくなっていることが確認された