IDC Japanは9月30日、2012年の国内モバイルセキュリティ市場規模実績と2017年までの予測を発表した。2012年の国内モバイルセキュリティ市場の規模は50億円であり、前年比成長率は35.9%であった。
モバイルセキュリティ市場は、モバイルアイデンティティ/アクセス管理とモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理、モバイルセキュリティ/脆弱性管理、その他モバイルセキュリティで構成されている。
2012年の同市場の売上額構成比では、ウイルス対策製品を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が全体の6割超を占めた。スマートフォンやタブレット端末の市場拡大とともに、Android端末を狙うマルウェアの増加傾向が加速しており、Android端末向けウイルス対策製品を中心に需要が高く、IDCではモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が市場拡大をけん引すると見ている。同市場の2012年~2017年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は18.7%で、市場規模は2012年の50億円から2017年には118億円に拡大すると予測している。
2012年の国内モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、前年比成長率が36.6%で市場規模は32億円だった。コンシューマ市場でAndroid端末向けウイルス対策製品の需要が高く、同市場をけん引した。企業向けでは、スマートフォンやタブレット端末の試験導入から本格的導入の段階に入っており、モバイルデバイス管理と一緒にウイルス対策製品などのセキュリティソリューションの導入が広がることで、今後も高い需要が見込まれるという。同市場の2012年~2017年のCAGRは18.9%で、2017年の市場規模は76億円と予測されている。
2012年の国内モバイルアイデンティティ/アクセス管理市場は、前年比成長率42.1%で市場規模は7億円だった。同市場では、企業でのスマートフォンなどのモバイル機器の利用拡大で社外から社内リソースへのアクセスが増加し、モバイル機器での認証強化へのニーズが高まっている。このため、ユーザー個人のIDとパスワードのみの固定パスワード認証と、ワンタイムパスワード認証やSSL証明書による認証、リスクベース認証を組み合わせた多要素認証ソリューションへの需要は高く、今後も継続すると見られる。同市場の2012年~2017年のCAGRはモバイルセキュリティ市場の中で最も高く22.8%で、2017年の市場規模は19億円と予測している。
IDCが2013年1月に実施したユーザー調査の結果では、モバイル機器導入時に4割の企業でセキュリティやコンプライアンスの問題が発生していた。企業では、モバイル機器を導入することで、社外からの社内リソースの利用やモバイル機器の盗難/紛失による情報漏洩といった新たな問題を抱えるため、セキュリティ対策の強化やコンプライアンス対応強化が必要となる。
「ユーザー企業は、自社の企業コンプライアンスに準拠したモバイル機器の運用ポリシーを明確にしたうえで、セキュリティ対策や機器管理のソリューションを導入すべきである。これによって、企業コンプライアンス対応強化を図れると共に、セキュリティポリシー設計が容易となり、セキュリティソリューションの導入工期を短縮できる」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂 恒夫氏は述べている。