ルネサス エレクトロニクスは9月30日、32ビットマイコン「RX」ファミリの超低消費電力版「RX100」シリーズの第2弾として、健康機器などのバッテリ制御機器への応用に最適な「RX110」グループ33品種を発表した。
近年、組み込み系マイコンを使用するアプリケーションでは、機器の高付加価値化のため機能追加などによるプログラムサイズの増大や、高級機から低級機までを同一のシステムプラットフォームで設計し、グレードに応じて使用するマイコンを使い分けることなどへの対応が求められている。一方、開発期間は毎年一定、もしくは短くなってきているため、ファームウェアの開発効率の向上や様々なグレードに応じて最適なマイコンを選択できるよう、同一CPUコアで動作周波数、搭載メモリ、パッケージの幅広いラインナップが必要とされている。また、健康機器、スマートフォン、ウェアラブル端末、携帯ゲーム機などの計測機器の分野では、センサが多数搭載されるようになり、それを制御するセンサハブとして、高性能、低消費電力、小型パッケージのマイコンの需要が増加している。特に、健康機器などのバッテリ駆動機器では、電池の寿命を延ばすため、計測や処理を高速に完了し、スタンバイ状態に遷移することで、動作時間を削減し平均電流を下げることが求められている。
同製品群は、「RX」ファミリの中で最も小型であり、USBを搭載した上位機種「RX111」グループとの完全下位互換を保ち、USBの要/不要に応じ使い分けることが容易となっている。また、上位機種の「RX600」シリーズ、「RX200」シリーズともCPUコア、周辺機能ともに高い互換性があり、新製品の追加により「RX」ファミリトータルとして32~100MHzの動作周波数範囲、フラッシュメモリ8Kバイト/RAM 8Kバイトからフラッシュメモリ2Mバイト/RAM 256Kバイトまでのメモリ、36~176ピンのパッケージをラインアップしているため、ユーザーのプラットフォーム開発における様々なニーズに同一CPUコアの製品群で対応できる。
また、「RX」ファミリ共通にスタータキットなど評価ボード、各種アプリケーションノート/サンプルコードを準備しており、すぐに開発を始めるための開発環境を充実させている。さらに、今回の製品では、対話形式のGUIで周辺機能の制御ソフトウェアを自動生成する機能をサポート。加えて、国内外の主要なパートナーベンダからも様々な開発ツール、ミドルウェア、リアルタイムOSのなどのサポートも充実させている。中でも、対話形式のGUIによる制御ソフトウェアを自動生成する機能を、独自の統合開発環境「CubeSuite+」および「e2 studio」にビルドインした形で提供することにより、ユーザーのプログラム開発効率の向上を支援している。このような、幅広い製品展開と開発環境によって、異なる複数のマイコンを使用する場合に対して、機能の理解やソフトウェア資産の流用、評価時間の短縮化などにより、開発期間を約2割短縮させることができるとしている。
また、同製品の動作時の電流値は、CPU動作周波数32MHz、周辺機能停止の状態で3.2mA。RAM、レジスタ値を保持した状態でもソフトウェアスタンバイモード時には350nAと低消費電力となっている。3.08CoreMark/MHzの高性能CPUを搭載したことにより、動作時の処理を高速に完了してスタンバイモードに遷移することができるため、電流消費の大きい動作時の期間を短縮することができる。さらに、スタンバイからの復帰時間も4.8μsであり、復帰中の電流の損失も減らすことが可能。これらにより、10msの周期でスタンバイ状態から復帰し、0.4msで動作を完了させ、再びスタンバイ状態に入るといった間欠動作をする場合、従来の16ビットマイコンに比べ平均電流を約1/3に削減することができるため、高性能かつバッテリの長寿命化が必要な機器への応用に適しているという。
なお、パッケージは4mm角の36ピンLGAパッケージに対応しており、健康機器、スマートフォンのサブマイコン、ウェアラブル端末などの実装スペースの制約が厳しいシステムにも対応することができる。サンプル価格は、メモリ容量が最も小さい8Kバイト搭載の36ピンLGAパッケージの製品で1個当たり150円から。2014年3月から量産を開始し、2015年12月には100万個を生産する予定。