東京都・六本木の森美術館では開館10周年を記念して、「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」を開催している。開催期間は2014年1月13日まで。
「六本木クロッシング2013展」は、同館が3年に1度開催しているシリーズ展。日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として開催するもので、4回目を迎える今回のテーマは「アウト・オブ・ダウト」。シリーズ初の試みとして海外から若手ゲスト・キュレーターを迎え、同館のチーフ・キュレーターである片岡真実と共同で日本の現代アートの「いま」を紹介する。
同展覧会に参加するアーティストは、1970~80年代生まれの若手を中心に、世代の異なる日本人(在外/日系アーティストも含む)29組。「社会的、歴史的文脈の再訪」や「ナンセンス」、「日本の自然観と不可視のエネルギー」、「ポスト・オブジェクト」という相互に関係しながらも複雑に絡み合う観点を基準として選ばれているという。
遠藤一郎《未来へ丸(模型)》2013年 |
柳 幸典《犬島プロジェクト》1995年 – 2000年Courtesy: ART BASE MOMOSHIMA, Hiroshima and Miyake Fine Art, Tokyo |
小林史子《1000の足とはじまりの果実》2013年 |
また、今回の展示では、セクションごとに分けず、ひとつのアーティストのなかにさまざまな視点や角度があることを大切にし、社会的、政治的な性格の強い作品、美術史的な、もしくはパフォーマンス性の高い作品、加えて自然の大きな力を人間との関係から問いただす作品などを紹介していく。展示の最後に待っているのはプロジェクトFUKUSHIMA!。2011年フェスティバルFUKUSHIMA!での大風呂敷の一部や、ドキュメンタリー映像等で、今日に至る彼らの活動の記録を展示している。われわれ日本人が直面した“震災とそれ以降の現実”をしっかりと考え、見つめ直す構成を意図している。
そのほか、毛利庭園でも作品の展示を行っており、岩田草平とインド少数民族「サンタル族」とのコラボレーション“岩田草平×プロマイノリティ”による、サンタル族伝統の土壁工法と近代工法を融合させ、約3週間かけて制作された家型の作品が展示されている。この六角形の家の壁画には、サンタル族が日本に来て、実際に見て、感じた事実がイメージとして描かれており、彼らが見たその日本の姿を体感することができる。
2013年現在、総勢29組のアーティストが再びダウト(疑義)の大切さ、そこからひとりひとりがどう考えて、行動していくのか。同展示会はそのことを観る者に強く問いかける内容となっている。