国立天文台は9月26日、次世代大型反射望遠鏡「TMT(Thirty Meter Telescope)」の30m主鏡を構成する分割鏡2枚分の素材(鏡材)が出来上がり、表面加工に送られたことを発表した。

TMTは、口径30mの主鏡を空に向け、宇宙から届く微かな光を捕え、それを主鏡で集め、副鏡と第3鏡で反射し、観測装置に送り込むことで、映像化する仕組み。主鏡は492枚の鏡(分割鏡)を組み合わせることで作られ、形状が少しずつ異なる82種類の鏡を6枚ずつ用いて作製される。また、鏡の作製には蒸着法が用いられるため、その交換用82枚と合わせて合計574枚の鏡が必要となる。

ドームシャッターを開いたTMT (提供:国立天文台TMT推進室)

この鏡材はの製作は日本が担当しており、2013年度からオハラが熱膨張率がほぼゼロであるガラスセラミックス材「クリアセリム」を用いて量産を進めている。分割鏡のサイズは厚さ4.5cm、対角1.44mの六角形状で、その鏡材は今年度60枚の製作が予定されているという。

なお、製作された鏡材は今後、研削、研磨による表面加工と外形の加工が施される予定だという。

今回出荷されたTMT主鏡材(2枚)。重さは約200kg。この段階では平板だが、今後の研削・研磨により表面がTMT主鏡に必要な非球面形状に加工されていくこととなる (C)国立天文台