三菱化学とパイオニアは9月25日、発光層を独自の塗布プロセスで成膜することにより製造コストを大幅に低減した、発光層塗布型有機EL照明モジュール(白単色型)のサンプル出荷を9月末より開始すると発表した。

有機EL照明は、面発光で薄型・軽量なのに加え、形状に制約がなく透明にできるなど、これまでの照明にない特徴を数多く有しており、次世代照明として注目されている。三菱化学とパイオニアは、2011年7月に、発光層を蒸着プロセスで成膜したカラー調色・調光型有機EL照明パネルモジュールの量産を開始、さらに、2013年6月には両社の出資によりMCパイオニアOLEDライティングを設立し、店舗照明や美容・医療用照明器具など、様々な用途向けに有機EL照明パネルモジュールを提案・販売してきた。

今回発表の発光層塗布型有機EL照明モジュール(白単色型)は、三菱化学が独自に開発した塗布材料を使用し、三菱化学とパイオニアの両社で開発を進めてきた製造技術によって実現した。蒸着型の従来品に比べ、製造コストを1/5から1/10程度へと大幅に低減するとともに、寿命については、本格量産開始時に約4倍の3万時間(輝度2000cd/m2で最大輝度の70%に達するまでの時間)を達成する計画という。

こうした低コスト・長寿命の実現により、これまでの店舗照明や美容・医療用照明器具に加え、オフィスや車載照明といった幅広いシーン・用途への有機EL照明の応用が可能になると期待している。また、カラー調色・調光型の従来品(発光層蒸着型)と組み合わせることにより、これまでにない、新しい照明空間の創出が可能となるとしている。

両社は、MCパイオニアOLEDライティングを通して、発光層塗布型有機EL照明ならではのメリットを活かした用途提案を積極的に行い、早期に市場を開拓する。さらに、2014年1～3月を目処に量産出荷を開始し、有機EL照明ビジネスを本格的に展開していくとしている。

発光層塗布型有機EL照明のモジュール

発光層塗布型有機EL照明の半器具化モジュール