キヤノンは9月26日、ネットワークカメラ4機種を12月上旬より発売すると発表した。全4機種がフルHD撮影に対応し、クラス最高水準の低照度性能を持つという。
全4機種のうち、ドーム型ネットワークカメラとして"VB-S30D"と"VB-S31D"、"VB-S800D"の3機種。箱型ネットワークカメラとして"VB-S900F"がラインナップされている。ドーム型は、本体サイズなどの基本仕様が共通であるものの、一部機能に違いがある。
"VB-S30D"のパン・チルト・ズーム機能は、上下方向やカメラの角度を調整することができ、カメラ設置後に「別方向を撮影したかった」といった場合にPCからネットワーク経由で撮影方向の変更が行える。また、ズーム機能では、光学3.5倍、デジタルズーム4倍まで対応しており、店舗内の遠方までズームできるようになる。"VB-S31D"については、光学ズーム機能を除くことで価格を抑えている。
一方、"VB-S800D"については、光学ズーム機能を搭載しておらず、パン・チルト機能についても手動での設定となり、ネットワーク経由での設定はできない。代わりに、角度を調整して映像を水平に撮影できるローテーション機能に対応する。
"VB-S30D"と"VB-S31D"、"VB-S800D"は同一サイズとなっており、キヤノンでは「直径約120mm、高さ約54mmのサイズは世界最小」と発表している。小型化やパン・チルド・ズーム機能によって、導入コストの削減ができるという。
手のひらサイズのボディを実現した背景として、キヤノンではレンズユニットの小型化を挙げている。同社が長年培ってきた光学技術を活用し、球面収差や歪曲収差を抑える独自の高屈折率ガラスや両面非球面レンズを採用。1円玉とほぼ同じ直径のレンズユニットがボディ全体の小型化に繋がった。
また、小型ボディでありながら、同社の映像制作カメラ「CINEMA EOS」にも採用されている映像エンジン「DIGIC DV III」を搭載し、高画質と共に低ノイズ、鮮明な色再現となめらかなグラデーション表現を実現している。
一方で、高画質化はデータ量が増大するため、ネットワーク配信を行う場合、帯域を圧迫してしまう可能性がある。そこでキヤノンでは、映像圧縮通信エンジン「DIGIC NET II」を搭載してDIGIC DV IIIとのツインチップ構成にすることで、ネットワーク配信時に帯域を圧迫させることなく高画質な配信を実現したという。
ほかにも、エントリークラスの製品としては最高水準の低照度性能が実現できたという。照度性能は"lux"という目安があるが、1luxが「1m離れたところにあるロウソクの光」、0.3luxが「満月の夜の明るさ」という基準になっている。上位モデルの"VB-S30D"では、カラー撮影時に0.95 lux、白黒撮影時に0.5 luxの性能となっており、低照度下でも高い視認性が発揮できるとしている。
撮影機能としては、オートSSC(Smart Shade Control)を搭載。逆光などで陰になってしまう人物などを、7段階の露光補正によってハッキリととらえることができるという。自動補正強度は「弱・中・強」の3段階で設定することができる。
本体の標準価格は、ドーム型の"VB-S30D"が9万9800円、"VB-S31D"が8万9800円、"VB-S800D"が7万4800円。箱型の"VB-S900F"は7万4800円となっている。
キヤノンではこれまでにもネットワークカメラの発売を行っていたが、従来のアナログ監視カメラからネットワークカメラへの置き換え需要の過渡期に合わせ、今後、製品ラインナップを拡大していくという。
ネットワークカメラ市場ではパナソニックが圧倒的なシェアを誇っているが、キヤノンとシェアを争うソニーも8月に新製品を発表するなど競争の激化が予想される。