モバイルアイアン・ジャパンは9月20日、iOS 7の企業向けに新たに提供されるAPIの新機能について説明した。

モバイルアイアン・ジャパン VP of Sales,APAC&Japan 柳下幹生氏

モバイルアイアン・ジャパン VP of Sales,APAC&Japan 柳下幹生氏は、「iOS 7はコンシューマ向けのニュースはたくさん出ているが、企業向け情報が出ていない。しかし、iOS 7では、格段に企業向けの機能が拡張されており、アップルが企業向けに乗り出してきていると感じる。米国では、Blackberryが衰退しているなかで、この市場をアップルとサムスンが取りにに来ている。最大ユーザーは政府機関で、ここを押さえてに来ていると感じている」と、アップルが企業向け機能強化に力を入れ始めているとの認識を示した。

そして「これまでアップルが企業向けに提供してきたAPIは、デバイス管理のためのAPIだったが、今回のiOS 7のAPIセットでは、EMM(Enterprise Mobility Management)機能が豊富に用意され、50以上の機能が追加されている。アップルは、アプリの開発を容易にする、ユーザエクスペリエンスの向上、セキュリティの確保を容易にする、企業のアプリ管理を容易にすることを狙っている」と述べた。

柳下氏によれば、iOS 7のMDM関連の企業向け新機能は、アクティベーションのタイミングでMDMへの登録、事前に設定したポリシーを簡単に適用できるなどの「円滑なMDMへの登録プロセス」と、アプリのサイレントインストール、Webコンテンツフィルタリング、メールアカウント設定制限などの「新たなMDMの構成機能、制限機能」に分けられるという。

MDMの新機能

「円滑なMDMへの登録プロセス」では、どのMDMに接続するかをあらかじめ設定してアップルから出荷される機能も追加され、ユーザーは初回起動時にユーザー、パスワードを入力するだけで構成情報をConfigできる。これにより、企業のキッティング作業が大幅に軽減されるという。また、企業においては現在、MDMによる端末管理は必須となっているため、MDMの登録なしではアクティベーションが完了できないという設定も可能だという。

制限機能のWebコンテンツフィルタリングでは、ホワイトリスト/ブラックリストによるWeb管理が可能で、メールアカウント設定制限では、企業が配布したデバイスのメールアカウント、PIMアカウントの変更許可、制限を行える。これにより、設定項目がグレーアウトされ、プライベートなアカウントを追加できなくなる。

Webコンテンツフィルタリング

メールアカウント設定制限

そして、柳下氏がもっとも大きな機能拡張のと表現したのは、「Open Inコントロール」だ。これは、企業情報が漏洩するのを防止するための機能で、ドキュメントやメールの添付ファイルを開くことができるアプリやユーザーを制限できる。これにより、EvernoteやDropBoxなどで、プライベートのクラウドストレージに企業のドキュメントを保存することを防止できるという。

そのほかセキュリティ面では、アプリ単位のVPNをサポートがある。これまでは端末単位のVPNですべてのアプリで利用できたが、アプリ単位のVPNでは、VPNを利用できるアプリを指定できる。

Open Inコントロールとアプリ単位のVPN

運用管理面では、アプリのサイレントインストールをサポート。これまでは、管理者がアプリを配布しても、ユーザーが端末上でインストールボタンをクリックする必要があったため、どれくらいのユーザーが実際にインストールしたのかを把握することが難しかったが、iOS 7からユーザーの操作なしでアプリをインストールすることができるようになった。

またアプリでは、企業側が配布したアプリのライセンスの回収・再配布することが可能になる。これまでは、端末配布後は端末の所有者がライセンスを保持することになったが、今後は、企業側は社員の退職時にライセンスを回収することが可能になるという。

モバイルアイアンジャパンでは、これらiOS 7の新機能を取り入れた同社のEMMプラットフォームの最新版「VSP V5.8」を9月中にリリースするという。