ルネサス エレクトロニクスと村田製作所、ユビキタスは9月25日、今後数年でIT化、ネットワーク化が進み、クラウドとの連携が加速すると見られるIVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント-車載情報機器)分野において、高速ネットワーク接続技術の共同開発を開始すると発表した。

近年、スマートフォンの普及によるネットワークサービスの利用が身近な存在となり、車載環境においてもネットワークサービスを利用したいという要求が高まっている。このような中、スマートフォンとIVIを接続する標準規格の策定が進んでおり、今後ますます複雑かつ高機能化していくことが予想される。こうした背景から、最新のIVIのプラットフォームでは、従来の専用化された組み込みシステム向けOSから、情報システムで利用されていた高機能なネットワークOSを導入する機運が高まりつつある。これらのOSは、汎用的かつ高機能なため、システムの起動に一定の時間を要する。しかし、その一方でエンジンの始動からすぐにバックカメラを表示したり、ラジオ音声を出力するなど、システムの高速起動が強く求められている。さらに、車内でのネットワークサービスを快適に利用できるようにするため、IVIとスマートフォンをつなぐWi-Fiの高速なリンクアップが重要な要素になると予測される。そこで、3社が持つ強みを活かしたソリューションの創出を目指し、共同で開発に取り組むことにしたという。

また、スマートフォンでは、IEEE802.11nの次世代規格IEEE802.11acへの対応が進み、車載環境への導入が始まると予想される。IEEE802.11acが実現する高速スループットは、快適なネットワークサービスの実現にとどまらず、Miracastに代表される動画コンテンツのスムーズな視聴を可能にするなど、車載インフォテイメントをより魅力的なものにすると考えられている。この他、初期接続・認証を高速に行うIEEE802.11aiは、一層の利便性向上に寄与すると期待されている。

今回発表の共同開発では、ルネサスの最新車載向けSoC「R-Car」と、村田のWi-Fiモジュール、ドライバソフトウェア、ユビキタスの高速起動ソリューションおよび無線通信ソフトウェア技術をベースに、最新の規格に対応しつつIVIシステムの高速起動を実現し、より快適にネットワークサービスが利用できるプラットフォームの提案を実現していく。導入しやすく、使いやすいプラットフォームを提供することで、IVI市場の拡大を図っていきたい考えとしている。

3社によるソリューション実現イメージ図と説明