古河電気工業(古河電工)は9月19日、400Gbpsの超高速光デジタルコヒーレント伝送装置のキー部品である、小型ITLA(Integrable Tunable Laser Assembly)を開発したとを発表した。
近年、スマートフォンの普及によるワイヤレスバックボーンの拡大や、クラウドコンピューティング、動画配信、ソーシャルネットワークの普及などにより、通信トラフィックが急激に増加している。このようなトラフィックの増加に対応するために、光の位相(波の状態)に情報を持たせることで、信号劣化に強く雑音の影響を受けにくい光デジタルコヒーレント方式による100Gbpsの大容量伝送システムの導入が進んでいる。しかし、世界ではさらなる超高速400Gbps光デジタルコヒーレント伝送の実現を目指して開発が始まっている。
400Gbps光デジタルコヒーレント伝送の変調方式としては、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)多値変調技術が検討されている。さらに、周波数利用効率の向上を目指し、伝送速度/変調方式に応じて、周波数帯域をフレキシブル使用するエラスティック光ネットワーク技術の導入検討が行われている。
今回開発した小型ITLAは、従来ITLAと同じOIF規格を維持したまま、小型化、低消費電力化、高性能化を図った光源となっている。エラスティック光ネットワークに使用されるFlexGridに対応した細やかで高精度な波長設定が可能であり、かつ400Gbps伝送に対応した狭線幅を実現した。16QAM多値変調においては、従来と比べ信号間距離が短くなり、より雑音の小さい狭線幅化が要求されている。その要求に応えるために、チップ構造を最適化し、300kHz以下の線幅を実現した。また、周波数を0.1GHzグリッド間隔でフレキシブルに可変できる機能も開発し、周波数利用効率の向上に寄与している。
さらに、従来サイズの1/2以下となる37.5mm×20mm×7.5mmを実現するために、独自の高精度光部品組み立て・固定技術を用いて、小型パッケージモジュールを開発した。回路側も、レーザ駆動回路やデジタル回路の工夫により小型化を図ったという。加えて、従来比20%減の低消費電力化を実現し、レーザチップの性能も向上させた。今後、サンプル提供を行うとともに、量産も計画中としている。