住友商事は、NEC / NECネッツエスアイ / 東芝 / モリタの各社とともに、ミャンマーの運輸省航空局と「全国空港保安設備整備計画」に関して、9月10日付で契約を締結したことを発表した。
全国空港保安設備整備計画は、ミャンマーの主要空港(ヤンゴン / マンダレー / ニャンウー / ヘホー / タンダウェ / ダウェー)の航空分野における安全性を向上させるための取り組み。国際民間航空機関(ICAO)の安全基準を満たすため、ドップラーVHF(超短波)無指向性無線航路標識・距離測定装置、飛行方式設計システム、各種航空灯火、通信制御装置などの航空交通の安全性向上に関する機材の納入と、消防車両、X線検査装置、爆発物検査装置など、空港の保安に関する機材の整備を行う。これにより、航空輸送の安全性と信頼性が高まり、域内の航空交通量増加へも対応可能になることが期待されている。
ミャンマーの航空需要は旅客数・貨物量ともに年々増加しており、今後、経済発展に伴ってさらに航空分野の重要性が高まることが確実視されているが、各空港では航空機の安全運航に必要な航空保安施設やテロなどを防ぐための空港セキュリティ機材の整備が大きく遅れている。
特に地方空港の多くはいまだ十分な無線施設を備えておらず、低精度の計器飛行や目視の有視界飛行による運航が行われ、天候の急変などの事態に対応することができない状態だという。また、一部の地方空港では爆発物の検査機材が設置されていないなど、検査体制においても多くの改善が必要とされている。
このような状況のなか、空港・航空保安分野に関する継続的な支援および緊急的に必要な機材供与について、同国政府より日本政府へ強い要請があり、この要請に応える形で2013年3月22日に日本とミャンマーの両政府間で交換公文が締結。独立行政法人国際協力機構(JICA)とミャンマー間で贈与契約が締結され、12億3300万円の政府開発援助(ODA)が約束された。
一方、国土交通省航空局は、一昨年から各種検討会や協議会を通じて航空インフラの国際展開を支援しており、ミャンマーに対しては、本件を皮切りに中長期的な支援も期待されている。
全国空港保安設備整備計画において、住友商事は計画の主契約者として全体の取りまとめを担当し、NECは航空機と地上局との距離を無線通信で測定する距離測定装置(DME)を提供する。NECネッツエスアイは無線通信部分のシステム構築と、本空港・航空保安インフラ構築の工事全般を担当する。
東芝は、本計画の主要な航空保安システムであるドップラーVHF(超短波)無指向性無線航路標識(DVOR)を主要3空港(ニャンウー、ヘホー、タンダウェ)に提供し、モリタはヤンゴン / ダウェー / ニャンウー / ヘホー空港の保安機材として空港用化学消防車を提供する。