各国のデザインのセンスには、少なからずお国柄が反映されるもの。外国から日本へ移り住んできた人たちは、日本人のデザインセンスについてどう感じているのでしょうか。今回は、デザインのセンスについて、日本人と「合う」部分と「合わない」部分を、日本在住の外国人20人に聞いてみました。
・合うところは、派手ではないこと、合わないところは、シンプルすぎるところです。(チュニジア/40代後半/男性)
・日本人と合うのは、シンプルが好きなこと。合わないところは日本人は地味な色が好きなところ。(マリ/30代前半/男性)
・シンプルさと色の組み合わせは日本人と合います。合わないところは特にありません。(フィリピン/40代前半/女性)
このアンケートでは、比較的好意的なコメントが多く寄せられていました。なかでも、「デザインがシンプルである」という点を挙げる人が最も多かったです。チュニジアの男性が「シンプルすぎる」と感じることもあるくらい、日本の製品/サービスのデザインは他国と比べてすっきりと作られているようです。
・繊細で、配色が綺麗なところは日本人と合う。日本人と合わないのは、情報があり過ぎるところ。(インドネシア/40代前半/女性)
・基本的にあっていますが、色合わせだけは、ロシアの方が厳しく制限されています。(例えば、ピンクと黄色の組み合わせはロシアでは、本来は悪趣味とされていましたが、日本では良く見かけます)(ロシア/20代後半/女性)
また、「配色」についても肯定的な意見が複数集まりました。ロシアの女性は色の合わせ方について、母国のほうが縛りが厳しく、合わせると悪趣味に思われてしまう色の具体例も挙げてくれています。
また、インドネシアの女性は、配色の美しさを評価しつつも、「情報がありすぎる」デザインに関して苦手意識がある様子。懇切丁寧な説明や気配りも、行きすぎると過剰に感じられるということかもしれません。
・例えば日本庭園、お寺の庭園とかのデザインは素晴らしいと思います。逆に広告やCM、食品の包装、Webサイトのデザインは悪いと思います。なぜか、車のデザインはとてもいいと思いますが、携帯電話や電化製品は悪いデザインが多いと思います。(ブラジル/30代後半/男性)
ブラジルの男性は、日本の伝統的な造園については素晴らしいと評価しつつも、近代的な広告やWebデザインについてはデザイン性が悪い、とコメントしています。ブラジルから来た彼にとっては、伝統的な日本のスタイルの方が好ましく感じられるということでしょうか。
・日本のデザインはたまにかわい過ぎる。(ギリシャ/30代前半/男性)
・和の雰囲気のデザインはとても素敵だと思う。でも年齢に関係なくあまりにも可愛さを強調するので違和感を感じる時もある。(韓国/30代後半/女性)
また、近年では日本のポップカルチャーのアイコンとも言われている歌手「きゃりーぱみゅぱみゅ」に代表されるような「カワイイ」ことをよしとする文化は、外国の人から見るとやり過ぎているように見えることもあるそうです。
韓国の女性は「年齢に関係なくあまりにもかわいさを強調する」とコメントしていますが、これは年代問わず女性誌の見出しをにぎわす「●●女子」などのコンセプトにも表れているのかもしれません。
・スウェーデンと日本は基本的に(デザインセンスが)合っていると思います。合わないところが思い浮かべません。(スウェーデン/40代後半/女性)
・合わないところは特にない。(台湾/40代前半/男性)
最後に紹介するのは、スウェーデンと台湾の人たちからの「合わないところは特にない」という回答。日本発のデザインを気に入ってくれているということは素直に嬉しいですね。
多くの人たちから「シンプル」、「配色が綺麗」といった評価をもらえた日本のデザイン。肯定的な意見が多いということは、日本で生まれるモノゴトのデザインには、親しみやすく、受け入れられやすい傾向があるということなのかもしれません。この持ち味を生かし、日本のみならず世界で受け入れられるような製品/サービスがもっと多く生まれるよう願うばかりです。