今週の金曜にいよいよ発売となるアップルの最新スマートフォンiPhone5sとiPhone5c。iPhone5sに関しては、事前予約を受け付けていないため、発売日の20日にはApple Store 銀座以外にも都内の電気量販店に行列ができることも考えられるだろう。今回は、このiPhone5sならびにiPhone5cのデザインについて、これまでにWeb、グラフィック、プログラミング、CG、映像などの様々な業界にクリエイターを輩出しているクリエイター養成スクール デジタルハリウッドの学長 杉山知之氏に話を聞いた。

――今週発売されるiPhone5sとiPhone5cのデザインについてどう思いますか?

iPhone5cの背面の角が丸くなったのは、先祖帰りだけど、ぼくは好きだ。プラスティックの質感は悪くなさそうだ。iPhone5sのカラーバリエーションを3つ並べて見ていると、なんか中高年ターゲットです! と叫ばれているようで、Apple製品という気がしない。

――ほかのスマートフォンとはどのような違いを感じますか?

iPhoneの4~5シリーズは、アイブ氏(ジョナサン・アイブ)が十二分に時間も手間もかけながら進化していると感じる。その流れで見ると、他社のデザインは、どこか詰めが甘いものに見えてくる。

iPhone5s(左)ならびにiPhone5c(右)のWebページ

――これまで多くのクリエイターを見てみた杉山さんだからこそ感じる、iPhoneのデザインへのこだわりはありますか?

筐体の形、色、素材に留まらず、iOS7のGUIまで含めてのトータルのデザインは、これからのデジタルデバイスのあるべき姿としてのこだわりを感じる。

――今後、どのようなデザインのiPhoneが出てきたら面白いと思いますか?

iPhone本体が伸縮して、iPad miniぐらい引き伸ばせたり、元に戻せたりできる。実現できる技術かは知らないけれど。

――iPhone以外にもアップル社のデバイスのデザインに関するイメージを教えて下さい。

Porsche 911シリーズのようになってきた。あちらが1963年の発表から数えて50年で、これからも続くと考えると、ノートパソコンとしてのひとつの完成型といえるMacbook ProやMacbook Airは、まだまだ、このデザインの流れでいけると思う。その点、今年度の発売が予定されている据置型のMac Proの円筒は、どういう文脈で受け取っていいのか、実物を見て触るまで理解できなそうだ。

デジタルハリウッド学長・杉山知之
1954年東京都生まれ。1979年に日本大学大学院理工学研究科修了後、日本大学理工学部助手に就任。1987年より、MIT メディア・ラボ客員研究員を務めたのち、国際メディア研究財団・主任研究員、日本大学短期大学部専任講師を経て、1994年10月、デジタルハリウッド設立。現在は、デジタルハリウッド学長とデジタルハリウッド大学学長を務める。