ソニーは9月13日、主にスポーツ中継などのライブ制作における効率化とシステムコスト低減に繋げる「リアルタイムIPプロダクション技術」を開発したことを発表した。従来、複数のケーブルで行っていた機器間の映像・音声・制御・同期信号の伝送を、ネットワークケーブル1本で実現するという。
リアルタイムIPプロダクション技術は、HD映像伝送の標準規格である「HD-SDI」とIPネットワーク技術を融合させたもの。HD、4Kを始めとした複数の高画質映像や音声をネットワーク経由で多地点に同期伝送し、切り替えノイズ無くスムーズにソース映像の切り替えができる。
ライブ制作などの現場では、HD映像伝送においても複数のケーブル設備が必要なうえ、4K高画質映像制作においては、HDの4倍の情報量を伝送するため4倍のケーブルが必要となり、さらに入力・出力双方向の場合はHD制作時の8倍のケーブルが必要となってしまう。
同技術を用いると、4K映像もネットワークケーブル1本で伝送できるため、従来と比較して、8分の1以下のケーブル敷設でシステムを構築でき、設置コスト、スペース、ケーブル重量を低減される。
また同技術は、異なる複数のビデオフォーマットも同時に1本のネットワークケーブルで伝送したり、IPスイッチの追加によって接続機器を拡張したりすることも可能だ。全ての機器がネットワークで繋がるため、ネットワーク経由で遠隔からの操作や機器の監視・保守も実行できる。
ソニーは、同技術を搭載した「IPインタフェースモジュール」「SDI/IPコンバーター」「ネットワークマネージャー」ソフトウェアの開発に加え、本技術を組み込んだ放送機器製品を2014年度以降に発売する予定だという。
SDI/IPコンバーター(開発中のデザイン) |
IPインタフェースモジュール:映像・音声・制御・同期信号をパケット変換し、リアルタイムにネットワーク伝送するためのプロセスを組み込んだ基板。
SDI/IPコンバーター:SDIのインタフェースのみの従来の放送業務用機器に対して、外付けでSDI-IP変換を行い、IPインタフェース機能を追加する変換器。
ネットワークマネージャー:機器間の通信を管理するソフトウェア。ソニー独自のアルゴリズムにより、最適なネットワークリソース管理を行うとともに、QoS(Quality of Service)技術を活用し、優先的に映像データを伝送したり、必要なネットワーク帯域を予約するなどして、求められる通信速度を安定的に提供する。