大日本印刷(DNP)は、3Dメガネと3Dプロジェクタを活用して、あたかも展示物のピラミッド内部を透視しているかのような体験ができる映像システムを開発したと発表した。
近年、博物館や美術館、企業のショールームなどで、タブレット端末やプロジェクタと、AR(拡張現実)やMR(複合現実)などを組み合わせ、展示作品や製品の理解を深めるシステムの導入が増えているが、内部構造が特徴的な展示物の場合、2次元の表現だけでは十分な効果を得られないため、展示物の大きさや位置に合わせて内部構造を立体的に表現できる、臨場感のある映像システムが求められているという。
これに対してDNPは、3DCGで作成した映像を3Dプロジェクターで展示物に投影、その映像を3Dメガネで見ることで、展示物と、文字や映像による付加情報の一体感を高めることのできるシステムを開発した。
今回DNPは、女子美術大と共同で、青森県立美術館(青森市)で開催される「吉村作治のエジプトと古代文明展~太陽の船と七大文明~」(9月14日~11月24日)にて当システムの実用化に向けた実証実験を行う。
実証実験は、利用者が3Dメガネをかけて、会場に設置されたピラミッド模型(実物の100分の1サイズ)の前に立ちピラミッドに向けて腕を伸ばし指さすと、指さした先のピラミッド表面が半透明になり、内部の通路や部屋などの構造物を立体的に透視するというもの。また、腕を動かすことでピラミッドのさまざまな位置の内部を見ることができるという。
これにより、ピラミッド内部の大回廊や下降・上昇などの通路、「王の間」や「重力軽減の間」などの部屋が、ピラミッド内でどのような大きさでどのように配置されているかを確認することができる。
実験では、ピラミッド表面に映し出した映像で内部を透視している実感を利用者が得られるか、内部の立体的な構造を正確に把握できるか、指さしする利用者がどれだけ思い通りに見たい部分をコントロールできるか、その操作方法を理解して簡単に使用できるか、などを検証する。
今後DNPでは、実証実験を通してシステムの有用性や課題を見極め、2014年の実用化を目指す。