キヤノンは9月12日、同社の一眼レフカメラ向けセンサ技術を活用したほか、画素部および読み出し回路にノイズ低減のための新技術を搭載することで、高感度・低ノイズでの動画撮影を可能としたフルHD動画撮影専用35mmフルサイズCMOSセンサを用いて、石垣島にてヤエヤマヒメボタルの撮影に成功したと発表した。

今回の取り組みは、ZERO CORPORATIONの協力のもと、同センサを搭載したカメラを試作。石垣島に生息する体長数mm程度のヤエヤマヒメボタルの撮影に挑むというもの。

ヤエヤマヒメボタルは、日本で最も小さなホタルで、一般的なホテルとは異なり、木々が生い茂る山の草地に生息しており、日没直後の数十分だけ舞うと言われている。

撮影は、人工的な照明は一切ない日没後の山中にて行われ、その明るさは肉眼では認識困難と言われる0.01lux以下という低照度環境ながら、同センサの活用により、ヤエヤマボタルの発する光の色や動きのほか、周囲の木々など、ホタルの生息環境まで撮影することに成功したという。

こうして得られた動画は今後、ヤエヤマヒメボタルの研究などに利用される予定だとしている。またキヤノンでは今後、同センサを天体や自然観測での活用のほか、医療研究用途や監視・防犯機器などへの応用を検討するとともに、より革新的なCMOSセンサの開発を進め、撮影領域の拡大と新しい映像表現の世界の開拓を目指すとしている。

キヤノンが2013年3月に開発したフルHD動画撮影専用35mmフルサイズCMOSセンサ

なお、同社Webサイトでは、同センサを用いて撮影された動画の一部を見ることが可能だ。

ヤエヤマヒメボタルが森の中を飛ぶ動画の一部。実際の動画は同社のWebサイトにて見ることができる (c)Canon/ZERO CORPORATION