富士キメラ総研は9月11日、スマートフォンとタブレット、電子書籍端末及びウェアラブル端末とそれらを構成する主要デバイスの世界市場を調査し、その結果を「2013 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」報告書にまとめ発表した。
調査によると、2012年の携帯電話の世界市場は、前年に引き続きスマートフォン市場が拡大し、前年比7.4%増。エントリークラスの端末ラインアップ拡充により、中国やインドなどを中心に低価格スマートフォンが急速に普及しており、2013年のスマートフォン市場は携帯電話全体の6割を超えると見込まれるという。
現在のスマートフォンの需要はローエンド端末が半数近くを占めることにより、上位機種への乗換えで買換えサイクルが短くなり需要喚起が想定されることや、新興国を中心にまだ携帯電話の新規需要が期待できることから、成長率は鈍化するものの今後も市場は堅調に推移し、2017年には2012年比24.1%増の19億7,000万台が予測される。
フィーチャーフォンは、スマートフォンの普及により最大の需要地であった中国で縮小しており、2012年に続き、2013年も前年比20%程度の減少が見込まれる。2014年以降も縮小は続くものの新興国向けや通話専用端末として一定の需要が残り、毎年10%程度の減少に留まると予測。
また、スマートフォンとの連携と競合(ウェアラブル端末とタブレット・電子書籍端末)においては、現状は音楽再生や音声通話を行うワイヤレスヘッドセットが中心となっているが、スマートフォンと連携させることで、通話やメールの確認など基本タスク面でのサポートや、カメラ、ネットワークサービスの利用が可能となるウェアラブル端末が登場している。スマートウォッチ、Googleグラスなど透過型ヘッドマウントディスプレイの投入などが期待されており、ウェアラブル端末は2012年の1,434万台から、2017年には3,780万台が予測される。
さらに、スマートフォンは、コンパクトデジタルスチルカメラ、ポータブルミュージックプレーヤーなど、さまざまな専用機器の機能を取り込んできた。ディスプレイの大型化によってスマートフォンはタブレットとの境界線があいまいになりつつあり、さらには同じスレート型の電子書籍端末とも競合。タブレット・電子書籍端末の市場は、ノートPCの需要を取り込んでいるタブレットがけん引することで2012年の1億5,140万台から、2017年には2012年比2.5倍の3億7,840万台が予測されるが、今後スマートフォンがタブレットや電子書籍端末の市場を侵食していく可能性もあると同社では見ている。
携帯電話/タブレット向け主要デバイス世界市場 資料:富士キメラ総研 |
携帯電話/タブレット向けの主要デバイス8分野25品目の合計は2012年で12兆7,309億円となり、スマートフォン市場の拡大に支えられ、マイナスとなった分野は見られなかった。特に表示/出力系デバイスとセンサーの伸びが顕著で、表示/出力系デバイスは高精細ディスプレイ搭載モデルの急増が、センサーはジャイロセンサーを中心とした搭載率の上昇がそれぞれ背景にあるという。